【論文】「質問が出ない」のは、やる気不足ではない

働き方

〜問いを生み出すには“環境設計”が必要だった〜

授業や会議、研修でよくあるこの場面。

「何か質問ありますか?」

……シーン。

つい「関心がないのかな」「考えていないのかな」と思ってしまいがちですが、今回紹介する研究は違う視点を示しています。

問いが出ないのは、能力や意欲の問題ではなく、問いを作る負荷が高いから。
だからこそ、

  • 事前共有
  • 安心できる場づくり
  • 目的共有

という環境設計が重要だと分かりました。

今回紹介するのは、広島大学附属中・高等学校の研究。

『問う力』育成のための指導法開発に向けた、学習者の「問い」の調査』

中学生の研究なんですが、これが保育園選びにもかなり参考になります。

「え、中学生?」と思うかもしれませんが、意外とつながっています。


論文概要

タイトル
『問う力』育成のための指導法開発に向けた、学習者の「問い」の調査

著者
久松功周・竹井幸智子

掲載
広島大学附属中・高等学校『中等教育研究紀要』第72号(2025年)

内容
中学3年生が発表後にどんな質問をするかを分析し、
「質の高い問い」を育てる方法を考えた研究。


人は放っておくと「安全な質問」をする

研究では、生徒が作った104個の質問を分析しました。

すると多かったのは、

  • 何個あるの?
  • 誰が作ったの?
  • 行ったことある?

みたいな質問。

つまり、

答えやすい・聞きやすい質問。

逆に少なかったのは、

  • なぜそれが大事なの?
  • 本当にそれでいいの?

みたいな深い問い。

これ、かなり人間っぽいです。

人って基本、

難しい質問より、失敗しにくい質問を選びがち。

そりゃそうですよね。

変なこと聞いて空気止めたくないですし。


個人的に面白かったところ

この研究で個人的にかなり面白かったのがここ。

質問できないのは、やる気不足じゃない

と整理していたところ。

これ、実社会でもめちゃくちゃあるんですよね。

例えば見学や懇談や会議で、

「何か質問ありますか?」

と聞かれて、

特にありません…。

となる。

でもこれって、

  • 関心がない
  • 考えていない

ではなくて、

何を聞けばいいか分からない

だけだったりします。

質問って、意外と難しいんです。

だから「もっと主体的に」は、わりと雑なアドバイスだったりします。

必要なのは、気合いじゃなく設計。

ここ、すごく納得感ありました。


じゃあ、いい組織は何が違うの?

研究では、問いを生みやすくする条件として3つ挙げています。

かなりシンプルです。

  • 事前共有
  • 安心できる場づくり
  • 目的共有

これ、保育園にもそのまま使えます。


① 事前共有がある園は強い

質問って、知らないとできません。

前提知識ゼロで急に質問しろは無理です。

だからいい組織は、

先に情報を出します。

例えば入園説明で、

  • 1日の流れ
  • 持ち物の理由
  • 慣らし保育の考え方

を丁寧に説明してくれる。

すると保護者は、

「あ、それならこれはどうなんだろう?」

と質問しやすくなる。


見学で見るポイント

説明が、

「持ち物はこちらです」

だけで終わるか、

「なぜ必要か」まで話してくれるか。

例えば、

× コップ持参です
○ 自分専用のものを使うことで衛生管理しやすくしています

後者のほうが質問しやすいですよね。


家庭でもできること

子どもにも同じです。

× 今日どうだった?
だとざっくりしすぎ。

代わりに、

  • 今日楽しかったことある?
  • 困ったことあった?

と聞く。

質問の土台を作る感じです。

シンプルだけどかなり違います。


② 安心できる場づくりがあるか

質問しない理由って、

分からないからだけじゃありません。

かなり大きいのが、

聞きにくい空気。


こんな園はちょっと注意

  • 質問すると少し面倒そう
  • 返答が妙に短い
  • 職員がピリついている

こういう組織は、内部でも質問しづらい可能性があります。

質問しにくい組織って、

だいたい報告相談もしにくいです。

これはちょっと怖い。


いい園の例

  • 小さいことでも聞いてくださいね
  • よくある質問はこちらです
  • 分かりづらかったら何度でもどうぞ

こういう一言が自然に出る園はかなり安心感あります。


家庭でもできること

子どもが質問した時、

× そんなことも知らないの?
× あとでね

これ、地味に質問文化を壊します。

代わりに、

○ いいところ気づいたね
○ 一緒に考えてみようか

これだけでOK。

シンプルです。


③ 目的共有があるか

ここかなり重要。

質問って、ともすると

  • ダメ出し
  • 詰問
  • 粗探し

になりやすい。

だから怖いんです。


いい園は目的が明確

例えば保護者から質問が来た時に、

「確認ありがとうございます」

と返せる園。

これ、かなり強いです。

質問=攻撃じゃなく、共有と改善のため。

この文化があると信頼関係が育ちやすい。


家庭でもできること

子どもに質問する時も、

× なんでできなかったの?

より、

○ 次はどうしたらうまくいきそう?

のほうが建設的。

問いの目的が変わります。


まとめ:保育園選びでは「質問しやすい空気」を見る

もう一度結論です。

いい保育園を見抜くなら、質問しやすい空気があるかを見る。

なぜなら、質問できる環境には

  • 情報共有がある
  • 心理的安全性がある
  • 改善文化がある

からです。

逆に質問しづらい園は、

情報も課題も閉じやすい。

見学ではぜひ、

  • 施設
  • 行事
  • 立地

だけじゃなく、

「ここ、なんか聞きやすいな」

という感覚も大事にしてみてください。

案外、いい園って設備より先に空気で分かります。

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