2025年4月、千葉県松戸市が、社会福祉法人「菊光会」が運営する保育施設4か所の運営費・補助金の不正受給について、遡及調査の結果を発表しました。内容をまとめます。
全体のまとめ
- 対象は社会福祉法人菊光会が運営する松戸市内の4施設
- 不正があったのは令和元年4月〜令和3年3月の2年間
- 不正の中身は大きく2つ。①職員に払うべき処遇改善の手当を払わず法人にためこんだ、②病気で休んでいる保育士を「働いている職員」として届け出た
- 国・千葉県の指示で、さかのぼって調査が行われた
- 返還金は2年度分で約300万円(加算金を含む)。このほか、市から法人へ追加で支払う分が約2万円
- 今回の資料には、園児の安全や虐待に関する指摘は含まれていない
- 法人は経理のチェック体制を見直し、市も民間園に給与確認の徹底を要請した
対象となった4施設
| 施設名 | 種別 | 入所人数(定員) | 職員数 |
|---|---|---|---|
| 松戸ミドリ保育園 | 認可保育園 | 80人(70人) | 24人 |
| 耀きの森幼児舎 | 幼保連携型認定こども園 | 64人(60人) | 26人 |
| ピッコリーノ保育園 | 小規模保育事業所 | 18人(18人) | 9人 |
| 保育園おとぎの城(旧コモレビ・ナーサリー) | 小規模保育事業所 | 4人(18人) | 5人 |
(令和7年3月現在)
指摘事項① 職員に払うべきお金を払わず、法人にためこんだ
どんな内容?
国や自治体は、保育士の給料を上げるために「処遇改善等加算」や補助金を園に出しています。これは職員のためのお金です。ところが、本来職員に支給すべきこのお金を渡さず、法人の中に「内部留保」としてためこんでいたことが分かりました。
わかりやすく言うと
「保育士さんの給料アップのために渡したお金が、保育士さんに届いていなかった」ということです。
該当園
資料では施設ごとの内訳は示されていません。対象は4施設全体です。
指摘事項② 病気で休んでいる保育士を「働いている」と届け出た
どんな内容?
園には、子どもの人数に応じて配置しなければならない保育士の数が決まっています。運営費は「その人数の職員がいる」ことを前提に支払われます。ところが、病気で休んでいる保育士を、実際には働いていないのに配置職員として報告し、運営費を多く受け取っていました。
わかりやすく言うと
「実際にはいない人を、いることにして届け出た」ということです。
該当園
こちらも施設ごとの内訳は示されていません。
お金の面ではどうなったか
- 令和元年度の返還金は748,724円(うち加算金191,064円)
- 令和2年度の返還金は2,257,000円(うち加算金302,000円)
- 不足分として市が法人に追加で支払う追給金は20,250円
- 総額は3,025,974円
※加算金とは、不正に受け取った分に上乗せして払うペナルティのお金です。資料の「合計2,277,250円」という数字は、内訳を足し合わせた総額と合わないため、ここでは総額の3,025,974円を紹介しています。
調査にこれほど時間がかかった理由
この法人の不正は、実は令和4年度に一度発覚・報告されています。その後、国と千葉県から「さかのぼって調べるように」という指示が出ました。
- 令和5年1月:国・県から遡及調査の指示
- 令和6年2月:調査する期間が確定
- 令和6年3月:市が法人に書類の提出を依頼し、法人が提出
- 令和7年1月:市が書類の疑問点を確認し、法人が令和元年度・2年度分の不正を認める
- 令和7年1月30日:返還額が確定
指示から確定まで約2年かかっています。
再発防止策
法人の対応
これまでは会計責任者がひとりでデータを入力していました。今後は役員などもデータを確認し、給与計算などは第三者に委託します。複数の目で確認する体制にしたそうです。
市の対応
市内の民間保育施設に、給与の支給額が正しいかを職員本人に直接確認し、署名をもらうよう要請しました。お金の流れを職員自身が見えるようにする狙いです。
感想
今回の件で、特に大事だと感じたのは次の点です。
- 処遇改善のお金は、保育士の待遇を良くするために国が出しているもの。それが職員に届かないのは、現場で働く人への裏切りになる
- 一人の担当者に経理を任せきりにすると、ミスも不正も見つかりにくい。複数人でのチェックが欠かせない
- 職員本人が自分の給与明細や手当の内訳を確認することが、最も身近な再発防止になる
なお、今回の資料からは子どもの安全面の問題は読み取れません。ただ、不正が行われていた時期の園の保育の質や職員体制については、資料だけでは分かりません。


