「うちの子が通う園は大丈夫かな?」と気になる保護者の方も多いと思います。千葉市は毎年、保育園への監査(行政による立ち入り検査)の結果を公表しています。この記事では、令和7年度に指摘を受けた24園・31件の内容を整理しました。
全体のまとめ
- 指摘を受けたのは24園、指摘は合計31件でした。
- 内訳は、お金の管理・使い方が21件(約3分の2)、子どもの安全・命に関わるものが9件、保護者への情報提供が1件です。
- 命に関わる指摘は、次のとおりです。
- 事故を防ぐ対策が不十分(3園)
- 事故・ケガの市への報告に不備(2園)
- 職員の人数・災害への備え・安全計画に不備(1園)
- 子どもの健康診断に不備(1園)
- 園長の不在、職員不足による見守り不足、午睡(お昼寝)チェックの漏れ、園児の見失いといった項目は、今回公表された一覧にはありませんでした。
- 虐待など人権に関わる指摘も、今回の一覧にはありませんでした。
- 24園すべてについて、改善の報告書を市が受け取り済みと記載されています。
- 市は、指摘の有無がその園の評価にすぐ結びつくものではないとしています。園を選ぶときの一つの材料として見てください。
※この記事は千葉市が公表している資料をもとにしています。公表されていない口頭での注意などは含まれません。
第1位:子どもの命・安全に関わる指摘(9件)
① 事故を防ぐための対策が不十分(3園)
なぜ危険?
事故は「たまたま」ではなく、仕組みで防ぐものです。「ヒヤッとした」場面を職員みんなで共有し、やり方を見直す仕組みがないと、同じ場所・同じ状況で同じ事故が起こりやすくなります。
該当園
- 子どものまきば保育園(緑区)
- 院内保育園(中央区)
- 梅乃園幼稚園附属0・1・2ナーサリー(中央区)
② 事故・ケガが起きたときの市への報告に不備(2園)
なぜ危険?
病院にかかるようなケガの報告が市に届かないと、市が園に確認や指導をする機会がなくなります。ほかの園で同じことが起きないよう教訓を共有する仕組みも働きません。「なかったこと」にされやすい点が、いちばんの問題です。
該当園
- スクルドエンジェル保育園幕張園(花見川区)
- 京進のほいくえんHOPPA幕張本郷駅前(花見川区)
③ 職員の人数・災害への備え・安全計画に不備(1園・計3件)
なぜ危険?
- 職員の配置:決められた人数がいないと、一人ひとりの子どもに目が届かなくなります。
- 災害への備え:火事や地震のとき、子どもを安全に避難させられるかどうかが決まります。
- 安全計画:園の中、散歩、送迎などで「どこに危険があるか」を事前に洗い出し、職員全員で共有するための計画です。
該当園
- 託児所HOMIES(中央区)
- このほか、サービス内容の掲示にも指摘がありました(後述)。
④ 子どもの健康診断に不備(1園)
なぜ危険?
入園時や定期の健診は、病気や発達の遅れ、感染症を早く見つけるためのものです。集団生活では、一人の病気がほかの子にうつることもあります。
該当園
- みつわ台総合病院たんぽぽ保育園(若葉区)
第2位:虐待・人権に関わる指摘
今回の一覧には該当する指摘はありませんでした。
第3位:お金の管理・使い方に関する指摘(21件)
少しわかりにくいので、先に説明します。
保育園には、国や市から「委託費」というお金が支払われます。保育のための公金なので、子どもや職員のために正しく使い、使い道を説明できる状態にしておくことが求められます。
事故のような直接的な危険ではありません。ただ、お金の管理が雑になると、職員の給料、保育の質、園の経営の安定に影響します。長い目で見れば、子どもの安全にもつながる大切なルールです。
① 園のお金を別の会計へ貸し付けたまま、年度内に精算していない(9園)
どういうこと?
運営会社が複数の園や事業をもつ場合、会計は園ごとに分けられています。そのあいだでお金を一時的に貸し借りすること自体は認められていますが、その年度のうちに精算するルールがあります。
なぜ問題?
精算されないと、保育のために渡されたお金が、本来の目的以外に使われている状態になりかねません。
該当園
- スクルドエンジェル保育園稲毛園(稲毛区)
- 幕張いもっこ保育園(花見川区)
- キートスチャイルドケア園生町(稲毛区)
- キートスチャイルドケアおゆみ野南(緑区)
- キートスチャイルドケア新田町(中央区)
- キートスチャイルドケア桜木(若葉区)
- キートスチャイルドケア幕張本郷(花見川区)
- 検見川わくわく保育園(花見川区)
- おゆみ野保育園(緑区)
※キートスチャイルドケアの5園は、運営法人が同じで指摘も同じ内容です。
② 本部(法人)の経費の支出手続きに不備(4園)
なぜ問題?
運営会社の本部にかかる経費を、各園の委託費からどう負担するかには決まりがあります。手続きが不十分だと、何にいくら使われたのかを追えなくなります。
該当園
- KORU保育園(稲毛区)
- スクルドエンジェル保育園稲毛園(稲毛区)
- ぴょんぴょん保育園(花見川区)
- 子どものまきば保育園(緑区)
③ お金の貯めこみすぎ(期末の手元資金が過大)(3園)
なぜ問題?
委託費は「子どもと職員のために使うお金」です。使わずに多額が残っているということは、職員の給料や園の環境づくりに十分回っていない可能性があります。
該当園
- にじのいろ保育園(中央区)
- 希望の子保育園(花見川区)
- 南小中台保育園(稲毛区)
④ 委託費の管理・運用が不適切(2園)
なぜ問題?
お金の管理方法そのものに不適切な点があった、という指摘です。どの点が不適切だったかは、公表資料からはわかりません。
該当園
- にじのいろ保育園(中央区)
- 希望の子保育園(花見川区)
※③と同じ運営法人の2園で、2つの指摘が重なっています。
⑤ 他の会計区分へお金を充てる手続きに不備(1園)
- アンファンジュール保育園弁天(中央区)
⑥ 委託費の会計処理に不備(2園)
- すまいるキャンディ保育園(花見川区)
- キッズ・ガーデン海浜幕張保育園(美浜区)
第4位:保護者への情報提供
サービス内容の掲示に不備(1園)
保護者が、保育時間・料金・利用条件などを確認して園を選べるよう、園は決められた情報を見える形で出す必要があります。
- 託児所HOMIES(中央区)
区別に見ると
指摘を受けた24園を区ごとに数えると、次のようになります。
| 区 | 園数 |
|---|---|
| 花見川区 | 8園 |
| 中央区 | 6園 |
| 稲毛区 | 4園 |
| 緑区 | 3園 |
| 若葉区 | 2園 |
| 美浜区 | 1園 |
※これは「その年に指摘を受けた園の数」です。区ごとの園の総数や、監査を受けた園の数は資料からわからないため、「この区の園が多く問題を抱えている」とは言えません。
保護者として園を見るときのポイント
指摘の多くは、お金や書類など、保護者から見えにくい部分です。それでも、日々の様子から確かめられることがあります。
- 事故やケガの連絡が、その日のうちに、具体的に伝わるか
- 安全計画や避難訓練について、聞けば具体的に説明してくれるか
- 園長と職員が、日ごろから気軽に声をかけ合えている雰囲気か
- 見学のときに、職員の人数や配置について質問しやすい雰囲気か
まとめ
今回の監査で指摘された内容は、お金の管理に関するものが中心でした。ただし、子どもの命・安全に関わる指摘も9件あります。特に事故の報告や再発防止の仕組みは、園と行政と保護者が「同じ情報を持つ」ために欠かせないものです。
指摘を受けた園は、すでに改善報告書を提出しています。大切なのは、指摘があったかどうかだけで判断せず、指摘を受けた後に園がどう変わったかにも目を向けることだと思います。気になる園があれば、見学や説明会で「監査の指摘を受けて、どんな改善をしましたか?」と直接聞いてみるのもよいでしょう。


