令和7年度 太田区の保育所監査、何が指摘されたのか?

最新版

太田区が公表した令和7年度の保育所監査の結果を、保護者の目線で読み解いてまとめました。今回確認できた一覧には28園が掲載されています。

全体のまとめ

  • 対象は28園。指摘はすべて「改善済」か「改善中」で、改善中は4園(いずれも施設長や管理者が保育に入っていた件)
  • 指摘の中で目立つのは「事故の報告漏れ」(3園)、「施設長・管理者が運営に専念できていない」(5園)、「緊急時の訓練をしていない」(9園)
  • 子どもへの接し方に関する指摘(不適切な保育・配慮に欠けた保育)は3園
  • 睡眠時の安全(仰向け寝)、窒息しそうな小物の点検、水遊びの見守りなど、命に直結する日常の安全管理の指摘もあった
  • 健康診断や検便の未実施、保育室の広さ不足、書類・お金の管理といった「運営の基本」の指摘も多かった
  • 今回の一覧に、午睡中のチェック漏れや園児の見失いに当たる指摘は見当たりませんでした

※指摘があったことは、すぐに園の質が低いという意味ではありません。監査は「決まりどおりにできているか」を点検するもので、指摘を受けた園はいずれも改善に取り組んでいます。ただ、子どもの安全に関わる内容は、保護者として知っておく価値があります。

1. 事故やケガの報告・説明が不十分だった

何が問題か 子どもの事故やケガのうち、区への報告が必要なものを報告していなかった例です。また、事故の後に保護者へ十分な説明をしていなかった、説明に誤りがあった、という指摘もありました。事故は起こさないことが第一ですが、起きたときに隠さず、早く、正確に伝えることが再発防止の出発点になります。

該当園(すべて太田区)

  • ポピンズナーサリースクール馬込(区への事故報告なし)
  • 小鳩ナーサリースクール中馬込(区への事故報告なし/園外活動での事故防止の手順が不十分/保護者への説明が不十分/施設長の保護者・行政への説明に誤り)
  • こどもヶ丘保育園大森北園(区への事故報告なし)

小鳩ナーサリースクール中馬込は、事故そのものから報告・説明まで複数の指摘が重なっており、今回の一覧では最も重い内容の一つです。

2. 施設長・管理者の不在、職員不足

何が問題か 施設長(管理者)は、園全体の運営や安全管理に専念する決まりです。ところが保育の現場に入ってしまい、運営の目が行き届かなくなっていた園がありました。また、主任保育士が担任を持っていた例、早朝の時間帯に職員が1人だけだった例もあります。人手が足りない園では、ヒヤリとする場面に気づきにくくなります。

施設長・管理者が保育に入っていた(5園)

  • ヤクルト西馬込保育園(改善中)
  • ヤクルト新蒲田保育園(改善中)
  • 久が原らるスマート保育所(改善中)
  • 池上らるスマート保育所(改善中)
  • ポピンズナーサリースクール長原(常態的に保育シフトに入っていた)

主任保育士が担任を持つなど、専任になっていなかった(3園)

  • にじいろ保育園南雪谷(2歳児クラスの担任)
  • ポピンズナーサリースクール長原(3歳児クラスの担任)
  • 高畑保育園

早番の時間帯に職員が1人だった(2園)

  • うれしい保育園南雪谷(保育士1名のみの日が1日)
  • 池上らるスマート保育所(職員1名で保育した日あり)

3. 子どもの人権への配慮に欠けた保育

何が問題か 子ども一人ひとりの人格を大切にして運営する決まりに対し、「不適切な保育」「配慮に欠けた保育」があったという指摘です。あわせて、施設長がそれを未然に防げなかったことも指摘されています。具体的な内容は一覧には書かれていないため、どのような行為だったかは分かりません。

該当園

  • ナーサリールームベリーベアー大森西本園(不適切な保育/施設長が防げなかった)
  • ナーサリールームベリーベアー大森西分園(同上)
  • このえ長原保育園(配慮に欠けた保育/施設長が防げなかった)

4. 緊急時の訓練や計画ができていなかった

何が問題か 各園は「安全計画」を立て、それに基づいて訓練をする決まりです。けが・急病・不審者・火災など、いざというときに職員が動けるかを左右します。計画そのものがない、職員や保護者に知らされていない、という指摘もありました。

救急・救命の訓練をしていなかった(5園)

  • 今泉保育園
  • グローバルキッズ鵜の木園
  • ぽけっとランド西蒲田保育園
  • よいこの保育園
  • MIRATZ大鳥居保育園

不審者対策の訓練をしていなかった(2園)

  • 小鳩スマート保育所大森
  • こどもヶ丘保育園平和島園

避難・消火訓練が月1回に満たなかった(2園)

  • 高畑保育園(消火訓練が1回抜けた)
  • Ohana大森西保育園(避難・消火訓練が1回抜けた)

安全計画などの作成・周知ができていなかった(3園)

  • 上池台保育園(令和7年度の計画がなかった/職員・保護者に周知なし)
  • グローバルキッズ鵜の木園(職員に周知なし)
  • 池上らるスマート保育所(職員・保護者に周知なし/事業所の防災計画も未作成)

5. 睡眠・窒息・水遊び・火事への備え

何が問題か 毎日の保育の中にある、小さいけれど命に関わるリスクへの備えです。

仰向け寝が徹底されていなかった(2園) 医学的な理由がない限り、乳幼児は仰向けで寝かせる決まりです。うつぶせ寝は、睡眠中の突然死のリスクを高めるとされています。

  • クオリスキッズいけがみ保育園
  • みらいく久が原園(2歳児クラス)

窒息のおそれがある小物の点検をしていなかった(4園) 誤って飲み込みやすいおもちゃや小物が部屋に落ちていないか、定期的に確認する決まりです。

  • 今泉保育園
  • 上池台保育園
  • 小鳩スマート保育所大森
  • 池上らるスマート保育所

水遊びの見守り役がいなかった(1園)

  • クオリスキッズいけがみ保育園

燃えにくくない(防炎でない)マットを使っていた(1園)

  • 上池台保育園(0歳児室のジョイントマット)

6. 健康診断・検便・衛生管理

何が問題か 子どもの健康診断(年2回)や歯科健診、給食を作る職員の検便は、病気の早期発見や食中毒予防のために決まっています。

子どもの健康診断が未実施(4園)

  • 小鳩ナーサリースクール中馬込(3歳児1名)
  • 今泉保育園(1名の1回目)
  • このえ南千束保育園(1歳児1名)
  • こどもヶ丘保育園平和島園(1歳児1名の1回目)

歯科健診が未実施(2園)

  • 小鳩ナーサリースクール中馬込(3歳児1名)
  • こどもヶ丘保育園平和島園(1歳児1名)

調理担当者の検便が未実施(3園)

  • このえ南千束保育園(月1回の検便が1回抜けた)
  • 小鳩スマート保育所大森(同上)
  • よいこの保育園(雇い入れ時の検便が未実施)

調理担当者の毎日の健康チェック、食事の保存確認が不十分(1園)

  • 池上らるスマート保育所(健康チェック未実施が2日/補食の検食を実施していなかった)

7. 保育室の広さが足りていなかった

何が問題か 園児の人数に見合う広さが必要ですが、ピアノや棚を置いたことで、使える面積が基準を下回っていました。狭いと子どもの動きが制限され、ぶつかりやすくもなります。

該当園(4園)

  • このえ南千束保育園(ピアノ/1〜5歳児室)
  • クオリスキッズいけがみ保育園(棚/3歳児室)
  • にじいろ保育園南馬込(棚2つ/0歳児室)
  • レイモンド南蒲田保育園(ピアノや棚/1・2歳児室)

8. お金・書類まわりの不備

何が問題か 園に支払われる委託費を、子どもや職員のために使わず年度末に多く貯めすぎていた(基準は収入の30%以下)という会計の指摘と、保育の計画書の未作成です。

期末の資金が基準を超えていた(3園)

  • ナーサリールームベリーベアー大森西本園
  • ナーサリールームベリーベアー大森西分園
  • ぽけっとランド西蒲田保育園

短期の指導計画が未作成(1園)

  • 池上らるスマート保育所(令和7年度の2歳児クラス)

保護者としてできること

  • 入園前・在園中に、事故やケガが起きたときの連絡と説明の流れを聞いてみる
  • 午睡の見守り方法や、避難・不審者訓練をどのくらいしているか確認する
  • 気になることは、園に直接、または区の窓口に相談する

同じ指摘が複数の園に出ていることは、「どの園にも起こりうる課題」だということでもあります。園選びのときは、指摘の有無だけでなく、指摘にどう向き合っているかも見てあげてください。

タイトルとURLをコピーしました