福岡市が公表した令和7年度の保育所指導監査結果から、市内の保育施設で見つかった指摘事項を整理しました。専門用語はできるだけ避け、「何が指摘されて」「なぜ問題なのか」「どの園が対象か」がひと目でわかるようにまとめています。
まとめ(先に結論)
- 今回公表された指摘事項は、大きく分けて ①保育士の配置に関するもの、②消防・避難訓練に関するもの、③職員の給与手続きに関するもの の3種類でした。
- もっとも注意したいのは、開園直後の時間帯に保育士が基準どおり配置されていなかったという指摘で、若宮保育園と大池けいあい保育園の2園が対象です。子どもの安全に直結する内容ですが、いずれも「是正済」となっています。
- 4つの園で「消火・避難訓練を毎月1回行うこと」という指摘があり、訓練の頻度が不足していたことがわかります。こちらも全て是正済です。
- 残り2園は、職員の昇給手続きで理事会の承認を得ていなかったという、事務・ガバナンス上の指摘でした。
- 指摘を受けた園はすべて「是正済」と記録されており、今回の公表内容だけを見る限り、現時点で継続的な問題が残っているわけではなさそうです。
以下、指摘事項を「子どもの安全に関わる度合いが高いもの」から順に紹介します。
① 保育士の配置に関する指摘(安全面で最も重要)
保育士がその場に何人いるかは、子どもの安全を守るうえで基本中の基本です。人数が足りない時間帯があると、見守りが行き届かなかったり、緊急時の対応が遅れたりするリスクが高まります。今回はこの点に関する指摘が2件ありました。
若宮保育園(福岡市東区)
開園直後の時間帯に、保育士が1名しか配置されていない日があったと指摘されています。本来はこの時間帯でも複数人での対応が必要で、市からは保育士または子育て支援員をもう1名追加するよう求められました。(是正済)
大池けいあい保育園(福岡市南区)
こちらは複数人が配置されてはいたものの、「保育士等の配置の特例」という基準を満たしていなかったという指摘です。人数自体はいても、資格や条件の組み合わせが基準に届いていなかったケースと考えられます。(是正済)
ポイント:どちらも「開園直後」という、保護者の送りが集中し、職員も出勤し始めたばかりの時間帯に起きていた点が共通しています。時間帯特有の配置の緩みは、他の園でも起こりやすい部分といえます。
② 消防・避難訓練に関する指摘
火災や地震などの際に子どもたちを安全に避難させられるかどうかは、日頃の訓練の積み重ねにかかっています。今回、4つの園で「消火・避難訓練は毎月1回行ってください」という同じ内容の指摘がありました。
- たんすい和白保育園(福岡市東区)
- 第1・第2・第3中央保育園(福岡市中央区)
- 花畑保育園(福岡市南区)
- 認定こども園 白百合保育園(福岡市城南区)
いずれも「行っていなかった」というより「毎月の頻度で行われていなかった」という趣旨の指摘とみられ、訓練自体が全くなかったわけではなさそうです。とはいえ、避難訓練は回数を重ねることで職員・子ども双方が動きに慣れていくものなので、頻度の指摘は軽視できません。全園「是正済」です。
③ 職員の給与・昇給手続きに関する指摘
最後は、子どもの安全に直接関わるものではなく、園の運営(ガバナンス)に関する指摘です。
横手つばさ保育園(福岡市南区)
給与規程によらない特別な昇給を行う場合は、理事会の承認を得る必要がありますが、その手続きが取られていなかったという指摘です。(是正済)
ゆりか認定こども園(福岡市早良区)
同様に、職員を特別昇給させる際に理事会の承認を得ていなかったという指摘でした。(是正済)
ポイント:これは保育の質そのものというより、法人としての意思決定プロセスがきちんと踏まれていたかという話です。金額の妥当性ではなく「手続きを踏んだかどうか」が問われている点に注意してください。
全体を通して見えること
今回の指摘内容を並べてみると、
- 人手が薄くなりがちな「開園直後」の時間帯
- 訓練の「頻度」という、見落とされやすい継続的な取り組み
- 昇給などイレギュラーな人事対応時の「承認プロセス」
という3つの落とし穴が浮かび上がってきます。いずれも「重大事故につながる不正」というよりは、日々の運営の中で発生しやすいヒヤリハット的な指摘であり、だからこそ他の園にとっても他人事ではない内容だと言えそうです。
保護者としては、通っている園がこうした監査結果を公表しているか、指摘があった場合にどう是正したかを確認することが、園選びや日々の安心につながります。
