今回のまとめ
- 取り上げるのは、武蔵野市の8園(保育園・幼稚園など)に出た指摘です。指摘は全部で9件です。
- いちばん多かったのは「避難・消火訓練を毎月実施していない」で、4園でした。
- 子どもの安全に直結するのは、職員の配置、避難・消火訓練、カーテンなどの防炎性能、調理担当者の検便の4種類です。
- 書類や手続きに関する指摘は、届出の漏れと会計・記録の整備不足の2種類でした。
- 9件のうち8件は「改善済み」または「改善報告済み」です。1件(マミーぽぷら保育園の会計経理)だけが「改善中」でした。
- 今回の資料には、園長不在、午睡チェック漏れ、事故・ケガの未報告、園児の見失い、虐待や人権侵害にあたる指摘は含まれていませんでした。
指摘があったからといって、すぐに事故が起きたということではありません。監査は「事故が起きる前に弱いところを直してもらう」ための仕組みです。
【命に関わるもの】
1. 保育士などを常に2人以上配置していない
該当園:精華第二保育園(改善報告済み)
保育の現場では、基本的に大人が常に2人以上いることが求められます。1人しかいない時間があると、次のような場面で対応できなくなるおそれがあります。
- 子どもが急に体調を崩して、1人が付き添う必要が出たとき
- 食べ物が詰まるなど、すぐに対応が必要なとき
- 火事や地震が起きて、子どもを避難させなければならないとき
そのとき残る子どもたちを見る大人がいなくなります。職員が少ない状態は、ケガや見落としが起きやすい状態でもあります。
2. 避難・消火訓練を毎月実施していない
該当園:
- 樫の実幼稚園(改善報告済み)
- キッズいながき保育園吉祥寺(改善報告済み)
- すくすく泉いずみのおうち(改善済み)
- マミーぽぷら保育園(改善済み)
火事や地震のとき、子どもは自分で判断して動くことがまだできません。職員が慌てずに動けるかどうかは、訓練をどれだけ重ねたかで決まります。
毎月行う理由は次の3つです。
- 月ごとに職員や子どもが入れ替わるので、全員が慣れておく必要がある
- 火事、地震、不審者など、想定する場面を変えて練習できる
- 何度もやることで、「この動きは難しい」と気づいて改善できる
最も多かった指摘ですが、全園で改善が確認されています。
3. カーテンや絨毯が防炎性能を持っていない
該当園:ベリールーム(改善済み)
防炎性能のあるカーテンや絨毯は、火がついても燃え広がりにくい素材でできています。性能がないと、小さな火が一気に広がり、逃げる時間がなくなるおそれがあります。
火災で怖いのは炎だけではありません。燃え広がった煙で、視界が奪われたり呼吸が苦しくなったりします。小さな子どもほど危険が大きいので、日常の備品にも防炎の基準が設けられています。
4. 調理・調乳担当者の検便をしていない
該当園:まなびの森保育園武蔵境(改善報告済み)
検便は、調理や調乳をする人が知らないうちに食中毒の原因菌を持っていないかを調べる検査です。本人に症状がなくても、菌を持っている人が調理すると、食事やミルクを通して子どもに広がることがあります。
乳幼児は抵抗力が弱く、大人なら軽く済む食中毒でも重くなることがあります。園は集団生活の場なので、一度広がると多くの子どもに影響します。
【運営・手続きに関するもの】
こちらは直接ケガにつながるものではありません。ただ、園がきちんと運営されているかを見る土台になるものです。
5. 認可・確認内容の変更を届け出ていない
該当園:みらいえ保育園吉祥寺南(改善済み)
定員や職員体制などが変わったときは、市に届け出る決まりがあります。届出がないと、市は実際の園の状態を把握できません。その結果、必要な指導や支援が遅れたり、補助金や基準の確認が正しくできなかったりします。
6. 職員・設備・会計の記録を整備していない
該当園:マミーぽぷら保育園(改善中)
出勤記録や設備の点検記録、お金の出入りの記録は、園の運営を後から確認するための土台です。記録が整っていないと、職員が足りていたか、点検をしていたか、保育のためのお金が正しく使われていたかを確かめられません。この園は避難・消火訓練の指摘も受けていましたが、そちらは改善済みで、記録の整備が現在も進行中です。
保護者として見ておきたいこと
- 園の避難訓練が、毎月どんな想定で行われているかを聞いてみる
- 見学のときに、保育室に大人が常に複数いるかを見る
- 給食や調乳の衛生管理について、園がどう取り組んでいるかを質問する
- 監査の指摘があった園でも、改善の報告があるかどうかを確認する
指摘が出ること自体は、園が悪いと決めつける材料ではありません。大切なのは、指摘を受けた後にきちんと直しているかどうかです。

