中央区が公表した令和7年度の保育所監査の結果から、文書で指摘を受けた20園・のべ23件をまとめました。子どもの安全に直結するものから順に紹介します。
全体のまとめ
- 対象は20園(区立2園、私立・企業運営など18園)で、指摘はのべ23件
- 最も多かったのは「早番の時間帯に保育士が1人だけだった」ケースで6件
- 次いで「消火訓練を月1回行っていない月があった」が4件、「調理スタッフの検便の時期が不適切」が3件
- 園児への虐待が確認された園が1園(令和7年6月に2回)
- 事故やケガの記録がなく、受診の判断や保護者への連絡も不適切だった園が1園
- 園長が調理や保育に入り、本来の運営管理に専念できていない園が2園
- 23件のうち21件は「改善済み」、2件は「改善中」(ぽけっとランド明石町保育園の資金管理と、まちのてらこや保育園の事故対応)
- 今回の資料に、午睡中のチェック漏れや園児の見失いに関する指摘は含まれていない
1. 子どもへの虐待(最重要)
解説:職員は、子どもの心や体に悪い影響を与える行為をしてはいけません。この園では令和7年6月に、子どもへの虐待が2回確認されました。区は再発防止のための是正を求め、現在は改善済みとされています。
該当園:ほっぺるランド佃
2. 事故・ケガへの対応が不十分
解説:この園では次のような問題が確認されました。
- 事故の記録が作られておらず、何が起きたのか把握しにくかった
- 病院に連れて行くかどうかを、子どもの状態ではなく保護者の言動やケガの種類で決めていた
- 頭のケガで受診が遅れた
- 保護者への報告が不正確だったり遅かったりした
区は、園全体で事故を防ぎ、対応する仕組みをつくるよう求めています。この件は「改善中」です。
該当園:まちのてらこや保育園
3. 保育士の人数が足りない時間帯がある
解説:保育所は、開いている間ずっと保育士が2人以上いなければなりません。1人だと、子どもの急な体調変化や事故のときに対応できず、トイレに行くことさえ難しくなります。6園は、早番の時間帯に保育士が1人だけになっていました。
該当園:
- 太陽の子新川保育園
- モニカ人形町園
- アンジェリカ月島保育園
- 月島聖ルカ保育園
- さくらさくみらい晴海
- 渋谷教育学園晴海西こども園(認定こども園で、「保育教諭」が1人の時間帯があった)
関連する指摘
- 保育士の資格がない人が人数に入っていた:早番・遅番や土曜日に「保育士1人+幼稚園教諭1人」の体制が常態化していました。開所中は、保育士資格を持つ人が常時2人必要です。(アスク晴海3丁目保育園)
- 保育士が調理を兼務していた:土曜保育で、配置された保育士2人のうち1人が調理を兼ねていました。保育に専念する保育士を常に2人以上置くよう求められています。(ブライト保育園東京入船)
4. 園長が運営管理に専念できていない
解説:園長は、園全体の安全や運営を見渡す役割です。ところが次の2園では、園長が現場の仕事に入っていました。
- 園長が令和7年4月から調理を兼任していた(ブライト保育園東京入船)
- 園長が令和7年8月から保育士として働き、シフトにも複数回入っていた(キャリー保育園八丁堀)
園長が現場に追われると、事故の振り返りや職員への指導が後回しになりがちです。区は、常に運営管理に従事できる体制へ改めるよう求めています。
5. 火事への備え
消火・避難訓練が月1回に届いていない
火災の訓練は、毎月1回以上行う決まりです。4園で、訓練をしていない月がありました。
該当園:
- THREE STAR NURSERY 蛎殻町園
- ニチイキッズさわやか勝どき6丁目保育園
- ポピンズナーサリースクールららテラスHARUMI FLAG
- Kuukids(クーキッズ)
燃えにくい加工のない布を使っていた
カーテンや敷物などは、燃え広がりにくい「防炎」加工のものを使う決まりです。区立の2園で、加工のない布が使われていました。
該当園:
- つくだ保育園(本棚に使用)
- 月島保育園(靴箱に使用)
6. 食中毒の予防
解説:給食を作る人や、ミルクを作る人は、月1回以上の検便が義務です。3園で、調理スタッフ1人の検便の時期が不適切でした。今後は時期を守って毎月行うよう求められています。
該当園:
- AIAI NURSERY 日本橋浜町
- 太陽の子月島保育園
- ニチイキッズさわやか勝どき6丁目保育園
7. お金の管理
解説:ここからは、子どもの安全に直接かかわる内容ではありません。ただ、園の運営を支える大切なルールです。
- 国などから園に支払われるお金(委託費)の持ちすぎ:年度末に手元に残るお金は、その年度の収入の30%以下とされています。この園は30%を超えていました。多く持ちすぎないようにするためのルールです。現在は「改善中」です。(ぽけっとランド明石町保育園)
- 会計区分をまたいだお金の貸し借り:運営費などを別の区分に貸すのは「やむを得ない場合」に限られ、原則として同じ年度内に精算しなければなりません。令和6年度末に精算されていない分があり、早く補填するよう求められました。こちらは「改善済み」です。(まちのてらこや保育園)
おわりに:この結果をどう受け止めるか
早番の保育士1人、消火訓練の抜け、検便のタイミングは、多くの園に共通した「うっかり」や「人手のやりくり」から生まれがちな指摘です。一方で、虐待や事故対応の不備は、決して軽く見てはいけない問題です。
大切なのは、指摘を受けたあとに園がどう動いたかです。今回は23件中21件が改善済みで、残る2件も改善に取り組んでいます。保護者としては、次のような点を園に聞いたり、見学のときに確認したりするのも一つの方法です。
- 早番・遅番や土曜日の職員体制はどうなっているか
- ケガやヒヤリとした出来事は、どう記録し、保護者にどう伝えているか
- 避難訓練は毎月行っているか


