保育園は、年度ごとに自治体などの監査を受けています。今回は令和7年度の三鷹市内の保育施設の監査結果から、指摘を受けた17施設の内容を整理しました。
「指摘された=危ない園」ではありません。多くは改善済みで、指摘は「ここを直してください」という確認の記録です。ただ、保護者として「どんな点が子どもの安全に関わるのか」を知っておくと、園見学や日々の送迎で役立ちます。
全体のまとめ
- 指摘を受けたのは17施設(市立3園、民間保育園・認定こども園、家庭的保育室を含む)で、指摘は合計30件でした。
- 30件のうち19件は改善済み、11件は改善中です。
- 改善中の指摘があるのは4施設です。にじいろ保育園三鷹牟礼(6件すべて)、第二小羊チャイルドセンター(3件すべて)、三鷹ちしろの木保育園(1件)、うれしい保育園三鷹中原(1件)です。
- 最も多かったのは避難・消火訓練の未実施・不足で、7施設ありました。
- 次に多かったのは保育士の配置に関する指摘で、5施設でした。市立保育園2園も含まれます。
- 施設長が役割を果たしていない、または専任でないという指摘が2施設ありました。
- 「子ども一人ひとりの人格を尊重した保育を行っていない」という、人権に関わる指摘が1施設ありました。
- 調理・調乳担当者の検便や健康診断の不備など、衛生面の指摘が3施設でした。
- お金の管理(会計)の指摘が5施設ありました。子どもへの直接の危険ではありませんが、園の運営の安定に関わります。
- 今回の資料には、午睡チェック漏れ、事故・ケガの未報告、園児の見失い、虐待にあたる指摘は含まれていません。
分類と読み方
重大度の高い順に並べます。ただし、これは「命や権利に直結しやすい順」で並べたもので、各指摘の実際の深刻さを私が評価したものではありません。
【1】子どもの人権・保育の質に関わる指摘
子ども一人ひとりの人格を尊重した保育を行っていない
該当園:第二小羊チャイルドセンター(改善中)
なぜ重要か
保育は、子どもを「ひとりの人間」として尊重することが土台です。大声での叱責、できないことへの強い責め、他の子との比較、無理な食事の強要といった関わりは、心の傷になります。これらは繰り返されると、不適切な保育や虐待につながるおそれもあります。
なお、資料にあるのは「人格を尊重した保育を行っていない」という指摘だけです。具体的にどんな場面だったのかは書かれていないので、虐待があったと断定することはできません。ただ、同じ園で施設長の役割や安全計画の指摘も重なっているため、改善状況は注目したいところです。
【2】命に直結する指摘
① 保育士の配置が足りていない
該当園
- 三鷹市立あけぼの保育園(改善済)
- 三鷹市立野崎保育園(改善済)
- 三鷹ちしろの木保育園(改善済)
- HOPPA北野けやきの里(改善済):常勤の保育士を各クラス・グループに1人以上置いていない
- にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中):同上
なぜ危険か
保育士の人数は、国の基準で子どもの年齢ごとに決まっています。基準を下回ると、午睡中の見守り、食事中のむせ、散歩中の事故、トイレや着替えの対応が、どれも手薄になります。「目が届かない時間」が生まれることが、重大事故の最大の要因です。
特に、各クラスに常勤の保育士がいない状態は、子どもを継続して見る人が不在になりやすく、変化への気づきが遅れます。
② 施設長が役割を果たしていない・専任でない
該当園
- にじいろ保育園三鷹下連雀(改善済):施設長が専任でない
- 第二小羊チャイルドセンター(改善中):施設長が職務・役割を十分に果たしていない
なぜ危険か
施設長は、園全体の安全管理、職員への指導、事故やヒヤリハットの把握、保護者対応を担う責任者です。専任でなかったり役割を果たせていなかったりすると、現場の問題が見過ごされやすくなります。「園長不在」は、いざという時に判断できる人がいない状態につながります。
③ 安全計画を作っていない
該当園:第二小羊チャイルドセンター(改善中)
なぜ危険か
安全計画は、園内外の危険な場所の確認、事故を防ぐ取り組み、職員の研修、保護者への周知などをまとめた計画です。これがないと、園全体で同じ意識を持って事故を防ぐことが難しくなります。
④ 避難・消火訓練を毎月やっていない
該当園
- 三鷹市立野崎保育園(消火訓練をしていない月がある・改善済)
- HOPPA北野けやきの里(改善済)
- 認定こども園 三鷹ちどりこども園(改善済)
- みたかこころ保育園(改善済)
- こもれび家庭的保育室もこもこ(改善済)
- 蒲生家庭保育室(改善済)
- にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中)
なぜ危険か
火災や地震の際、乳幼児は自分で逃げられません。職員が「誰が何を持ち、どの順で、どの経路で逃げるか」を体で覚えていないと、パニックの中で動けなくなります。訓練は月1回が基本で、これは命を守るための最低限の準備です。最も多かった指摘であり、保育現場で後回しになりやすい点だともいえます。
⑤ 子どもの人数に対して部屋の面積が足りない
該当園:みたかつくしんぼ保育園(改善済)
なぜ危険か
手狭な環境では、子ども同士のぶつかり、転倒、昼寝の布団の間隔不足が起きやすくなります。避難時にも動きづらくなります。感染症が広がりやすくなる点も心配です。
【3】健康・衛生に関わる指摘
調乳・調理担当者の検便や健康診断が不十分
該当園
- 三鷹市立山中保育園:調乳担当者の検便(改善済)
- ポピンズナーサリースクール三鷹下連雀:調理・調乳担当者の健康診断の未受診者(改善済)
- うれしい保育園三鷹中原:上記の両方(改善済)
なぜ危険か
ミルクや給食を作る人が菌やウイルスを保有していると、気づかないうちに食中毒や感染症を広げてしまいます。特に月齢の低い赤ちゃんは、少量の菌でも重症化することがあります。検便と健康診断は、その予防の基本です。
【4】お金・運営(会計)に関わる指摘
専門的な内容ですが、簡単に言うと、「保育のために預かったお金が、決められたルールどおりに使われ、管理されているか」の確認です。直接の事故につながるわけではありませんが、ここが乱れると、人件費や安全のための支出に影響が出るおそれがあります。
| 指摘内容 | 該当園(状況) |
|---|---|
| 他の事業・区分への貸付を年度内に戻していない(お金の貸し借りの清算漏れ) | ケンパ井の頭(改善済)、みたいぐコスモ保育園(改善済)、にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中) |
| 年度末に手元の資金を持ちすぎている(委託費収入の30%超) | うれしい保育園三鷹中原(改善中) |
| 補正予算(途中の予算修正)を適正に行っていない | 三鷹ちしろの木保育園(改善中) |
| 積立金の計上が不適正 | 三鷹ちしろの木保育園(改善済) |
| 積立資産に見合う預貯金がない | にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中) |
| 積立金を目的外に使う際の都への事前協議をしていない | にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中) |
| 貸借対照表(お金の状況を示す書類)を適正に作っていない | にじいろ保育園三鷹牟礼(改善中) |
特に注目したい2園
にじいろ保育園三鷹牟礼(6件・すべて改善中)
避難・消火訓練、常勤保育士の配置、会計の4項目と、安全面と運営面の両方にまたがる指摘があります。
第二小羊チャイルドセンター(3件・すべて改善中)
施設長の役割、安全計画、人格を尊重した保育と、園の運営の根幹に関わる指摘が揃っています。
この2園に通っている、または検討している保護者の方は、園に改善の進み具合を直接聞いてみてもよいと思います。
保護者として確認できること
- 避難訓練の様子や頻度を、園だけでなく保護者会などで聞いてみる
- 施設長が日常的に園にいるか、気軽に話せるかを見る
- 各クラスに複数の保育士がいるか、送迎時の様子を観察する
- 子どもへの声かけが穏やかか、保育士が子どもの目線で関わっているかを見る
- 気になることがあれば、園、または市の保育担当窓口に相談する
最後に
今回の指摘の多くは、すでに改善されています。監査で問題が見つかり、それが直されること自体は、制度が機能している証でもあります。大切なのは、指摘を受けたことよりも、改善が確実に行われ、同じことが繰り返されないかという点です。
※本記事は、三鷹市の令和7年度の監査結果一覧にもとづいて整理したものです。資料にない詳細(指摘の具体的な経緯など)は含まれていません。最新の情報は、三鷹市の公表資料でご確認ください。


