子どもの預け先を探しているとき。あるいは保育士として、これから働く園を探しているとき。
誰しもが、「安心できる場所であってほしい」と願います。
しかし現実には、園の運営がうまくいかずに、行政からの指摘を受けるケースもあります。
今回は横浜市鶴見区にある「フェアリーテイルみらい」に関する監査の指摘をもとに、保育園の運営とはどんなものか、そして保育士や保護者がどのように“よい保育園”を見極めるかを、いっしょに考えてみましょう。
この記事でわかること
- 行政からの「指導監査」とは何か
- フェアリーテイルみらいで指摘された「資金貸付」とはどういうことか
- 保育園の本来のあるべき姿とは
- 保護者が見るべき園のチェックポイント
- 保育士が働く園を選ぶときに大切にしてほしい視点
お金の流れも「子どもたちの未来」の一部であるということ
子どもたちの成長を支える場所としての保育園は、ただ「預ける場所」ではありません。
そこには、保育士のあたたかなまなざしや、子どもたちの心の動き、季節の行事や日常の小さな冒険が詰まっています。
けれど、それを支えるのは「お金」という現実です。
お金の使い方が適切であるか、行政は定期的に監査を行い、問題があれば指導をします。
これは、子どもたちの未来を守るために、当然の仕組みです。
フェアリーテイルみらいでの指摘:拠点区分間の資金貸付とは?
令和5年7月21日、横浜市鶴見区にある「フェアリーテイルみらい」に対して行われた行政の指導監査において、次のような指摘がなされました。
保育所委託費を財源とする拠点区分間の資金貸付が解消されず、令和4年度末において更に増えていた。拠点区分間の資金貸借は、返済計画に基づきすみやかに清算すること。
これはどういうことでしょうか?
保育園は「公的なお金(保育所委託費)」をもとに運営されています。
それは、子どもたちの食事、遊具、職員の給料、教材などに充てられるべきお金です。
ところが「拠点区分間の資金貸付」とは、同じ法人が運営する別の施設に、そのお金を貸していたということ。つまり、本来その園で使うべきお金が、他の園のために使われてしまっていたのです。
これは、「将来返すからいいだろう」という問題ではありません。保護者から見れば、「自分の子どものための予算」が他に流れているという不安につながるのです。
しかも、その資金の貸し借りが年度末にかけてさらに増えていたということは、経営全体の見通しや透明性にも疑問が残ります。
本来、保育園はどうあるべきか?
お金の問題は、透明でなければいけません。
なぜなら、子どもの育ちにまっすぐ向き合うには、園の土台が安定していなければならないからです。
本来の保育園の姿とは、
- 子どもたちの安全が守られていること
- 保育士が安心して働ける環境が整っていること
- 保護者との信頼関係が築かれていること
そしてそのすべてを、健全な運営が支えていることです。
お金の使い方ひとつをとっても、そこに「子どもたちのため」という意志があるかどうか。
それが問われています。
保育園を探している保護者へ:チェックしてほしいポイント
保育園を選ぶとき、見学や説明会で次のような視点を持つと良いでしょう。
- 保育士が笑顔で働いているか
保育士の表情は、職場の空気をそのまま映します。 - 施設内の掲示物に“子ども目線”があるか
大人のための掲示より、子どもの成長を祝うものが多いかどうか。 - 質問への対応が丁寧か、誠実か
資金の使い道まで細かく尋ねる必要はありませんが、誠実な説明がある園は信頼できます。 - 第三者評価や監査結果を公開しているか
最近はWeb上で公開されている園も増えています。「問題があった園」が一概に悪いとは限りませんが、説明責任を果たそうとする姿勢は大切です。
保育士として転職を考えているあなたへ:園選びの視点
保育士として、働く園を選ぶときもまた、目に見えない「空気」を大切にしてください。
- 職員会議の様子に発言の自由があるか
意見を言える環境は、現場を大切にしている証です。 - 人員配置に無理がないか
慢性的な人手不足の園では、どんなに志が高くても燃え尽きてしまいます。 - 運営法人の財務状況や理念が透明か
求人票だけでなく、法人のホームページや監査結果を見ることで見えてくることもあります。 - 園長や主任が現場のことをよく知っているか
管理職が「子どもたちのことを話す目」をしているかを見てください。
まとめ:子どもたちの未来は、大人の選ぶ「場所」からつくられる
私たちは誰もが、迷いながら、手探りで、子どもにとって最善の環境を選ぼうとしています。
だからこそ、起きた出来事を知り、自分の中に“選ぶ軸”を持つことが大切です。
園が何かの指摘を受けたからといって、それがすべて悪だと断じる必要はありません。
でも、それにどう向き合い、変わろうとしているかを見る目を、私たちは持っていたいのです。
子どもたちの未来は、私たち大人の「選ぶ力」と「学び続ける意志」に支えられています。
そしてその中には、子育てをしている保護者も、保育という現場に立つあなたも、たしかに含まれているのです。
子どもたちの笑顔があふれる保育園を目指して。
今日もまた、静かに、たしかに、前を向いて歩いていきましょう。
<参考>横浜市 指導監査結果https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kosodate/ninka/kanendokekka.html
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