「見えない清潔」と保育の誠実——スマイルキッズ駒繋保育園の指導監査から考える、園選びと信頼の話

細菌検査 世田谷区
細菌検査

保育園という場所は、子どもを「預ける」だけの場所ではない。

そこには人の手があり、目があり、そして日々の営みがある。
令和7年1月、世田谷区の監査において、とある保育園で「見逃された確認」があった。
それは一見些細に見えるが、「信頼の根」に関わる大切な指摘だった。
本記事では、その背景と本来あるべき保育の姿を見つめ直し、保護者・保育士それぞれの視点から「選ぶ力」を養う一助となることを願って綴る。

<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4

【この記事でわかること】

  • 指導監査で指摘された「検便結果未確認」の具体的内容と背景
  • 衛生管理が保育においてなぜ重要なのか
  • 保育園を探す保護者が確認すべきポイント
  • 転職を考える保育士が「見るべき」園の内側

■ 指導監査とは「日々の暮らし」の鏡

指導監査とは、自治体が定期的に保育施設を訪れ、運営・保育・安全などについて確認する制度だ。
まるで古びた井戸の底をのぞきこむように、普段は見えにくい「保育の裏側」が浮かび上がる。

令和7年1月21日、世田谷区のスマイルキッズ駒繋保育園に対する監査で、以下の指摘がなされた。

「調理従事者の検便結果を、事前に確認しないまま業務に就かせた月があった」

保護者からすれば「えっ、それって大丈夫なの?」と不安になるのも当然のことだろう。

■ なぜ検便が必要なのか

調理に関わる者は、定期的に検便を受けることが求められている。
これは、腸内にサルモネラ菌やO157などの病原菌を保有していないかを確認するためだ。
大人にとっては無症状であっても、小さな子どもにとっては命に関わる感染源になる。
だからこそ、保育園では「検便の結果が出て、異常がないこと」を確認してから調理業務を任せるのがルールであり、使命でもある。

今回のケースでは、恐らく業務の繁忙、あるいは確認フローの習慣化不足が重なり、検便結果の到着前に調理に従事させてしまったのだろう。
そこに悪意はなかったかもしれない。けれど、保育においては「誠実な手抜かり」ほど危ういものはない。

■ 保育とは「見えないこと」を信じる営み

保育の現場は、多くの「見えない努力」で支えられている。
食器一枚の消毒、給食室の温度管理、そして検便確認もそのひとつだ。
保護者が目にするのは元気な子どもと笑顔の先生たち。
だからこそ、こうした「舞台裏」にこそ、本当の信頼が宿るのだ。

監査の指摘を受け、当該園も再発防止の体制を整え、確認フローを見直しているという。
人は誰しも間違うが、それを受け止め、次につなげることこそが「保育の誠実」である。


【保育士のあなたへ:園選びで見るべき“静かな部分”】

転職活動中の保育士にとって、給与や通勤距離も大事な要素だ。
けれど、それと同じくらい——いや、時にそれ以上に大切なのは「衛生管理の意識」「現場の声が届くかどうか」である。

チェックすべきポイントはこうだ:

  • 給食室と調理場の見学ができるか
  • 「検便確認」や「マニュアル」の整備状況はどうか
  • 現場職員が萎縮せずに声を上げられる風通しがあるか
  • 指導監査の結果を公開し、改善をしているか

こうした点に、園の「本気度」が滲む。
華やかな行事より、日々の営み。
表の声より、裏の仕組み。
それを見抜く力は、保育士にとって一生ものの財産になる。


【まとめ】

子どもたちは、今日も園で笑っている。
その笑顔の裏側には、大人たちの見えない努力と、小さな確認の積み重ねがある。
検便一つ、書類一枚に宿る誠意を見つめ直すことは、未来の信頼をつくることに繋がる。

保護者も保育士も、園を選ぶということは「人生の一部を託す」こと。
だからこそ、目に見えるものと同じくらい、見えない誠実さに目を向けてほしい。

<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4


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