数字の奥にある、まなざしを忘れない ー 世田谷区下北沢保育園 指導監査から考える「ほんとうの保育」

経理 世田谷区
経理

保育園という場所は、ただ子どもを預けるだけの場所ではありません。そこには、子どもたちをまっすぐに見つめる保育士のまなざしがあり、仕事と子育てに奮闘する保護者の願いがあります。
令和7年1月16日、世田谷区の下北沢保育園で実施された指導監査において、「前期末支払資金残高の充当処理に誤りがあった」という指摘がありました。数字のミスのように見えるこの出来事。その背景には、保育という営みが抱える現実と、現場のがんばりがありました。
このブログでは、その指摘の内容をやさしく解説しながら、保護者が安心して保育園を選べる視点と、保育士が転職の際に心に留めておきたい園選びのヒントを綴ります。


この記事でわかること

  • 「前期末支払資金残高の充当処理に誤りがあった」とはどういうことか
  • どうしてそのようなミスが起きたのか、その背景
  • 本来あるべき保育園の財務管理とは
  • 保育園を選ぶとき、保護者が見るべきポイント
  • 転職活動中の保育士が意識したい、信頼できる保育園の見極め方
  • 子育て中の保護者や保育士への応援メッセージ

1. 数字のミスに見える「現場の声」

今回の指導監査で指摘されたのは、「前期末支払資金残高の充当処理に誤りがあった」というもの。
言葉だけ見ると少し難しく聞こえますが、要するに「前年度の予算から余ったお金が、正しい目的に使われず処理されてしまった」ということです。

このような処理のミスは、意図的な不正ではない限り、現場の業務の複雑さや人手不足、書類整理の煩雑さなどから生まれることがあります。特に、小規模園や地域に根ざした保育園では、事務と保育を兼務している職員も多く、日々の忙しさの中でミスが起こる可能性は少なくありません。

ただし、こうしたミスが「指摘事項」として記録されることで、保育園の信頼性が揺らいでしまうこともあります。だからこそ、私たちは表面の数字だけではなく、その背景にある現場の姿や、日々子どもたちに向き合っている保育士たちのまなざしを見つめ直す必要があるのです。


2. 本来あるべき「お金の使い方」

保育園は、保育料や自治体からの補助金など、さまざまな公的資金をもとに運営されています。それだけに、資金の使い道や処理は、明確で適正である必要があります。

「充当処理」とは、簡単に言うと「このお金は、何に使いましたか?」という問いに対して「〇〇に使いました」と記録を残すこと。
たとえば、絵本を買った、給食費に使った、保育士の研修費に使った、など。

この処理に誤りがあると、後から「そのお金は本当に正しく使われたの?」と問われることになります。そうした不透明さが積み重なると、信頼が揺らぎ、最終的には保育の質にも影響を及ぼしてしまうかもしれません。


3. 保育園は、信頼でできている

けれど、ここでひとつ立ち止まって考えたいのは、こうしたミスが「ダメな保育園」という印ではない、ということです。
どんなに志を持った園でも、現実の中では完璧にすべてを運営するのは難しい。大切なのは、指摘を受けたあと、どのように見直し、改善していくかです。

下北沢保育園もまた、指導監査を受けて終わりではなく、これからも改善の道を歩んでいくはずです。子どもたちの未来を守るために、誠実に、自分たちの営みを見直す姿勢がそこにあるかどうか。それこそが、信頼に値する保育園の証なのです。


4. 保護者が「安心して選ぶ」ためにできること

子どもを預ける場所を選ぶとき、保護者の心には不安と希望が入り混じっています。「ここでいいのかな」「ちゃんと見てくれるかな」「何かあったらどうしよう」。

指導監査結果をチェックすることも大事ですが、それ以上に、園の雰囲気や保育士の対応、掲示されているおたよりや年間計画を見てみてください。

以下のような点がチェックポイントになります:

  • 職員の表情やあいさつにあたたかさがあるか
  • 子どもたちがのびのび過ごしているか
  • 保護者とのコミュニケーションがオープンか
  • 園内が整理整頓され、清潔であるか
  • 苦情対応などのルールが明示されているか

また、可能であれば園見学を通じて、「この園は子どもを“預かる”のではなく、“育てる”ことに向き合っているか」を感じてみてください。


5. 保育士が「働きたい」と思える場所を選ぶために

保育士として働く場所を選ぶとき、「待遇」や「立地」ももちろん大事ですが、それ以上に「この園で、自分は笑顔でいられるか」を大切にしてほしいと思います。

こんなポイントに注目してみてください:

  • 保育理念に共感できるか
  • 保育計画がしっかり立てられているか
  • チームワークが感じられる職場か
  • 定期的なミーティングや研修があるか
  • 園長が現場の声を受け止めているか

そして、「失敗を許し合える空気があるか」は、とても大切です。
今回のような事務的なミスも、日々の現場では起こりうるもの。そんな時に、責め合うのではなく「どうすればよかったか」を一緒に考えられる仲間がいるかどうか。
それは、働き手にとっても、子どもたちにとっても、かけがえのない環境です。


まとめ

保育園の運営は、数字や書類だけで語れるものではありません。
そこには、毎朝泣きながら登園する子どもに手を差し伸べる保育士の手があり、仕事帰りに急いで迎えに来る保護者の息遣いがあります。
指導監査の結果は、たしかにひとつの「ものさし」かもしれません。でも、本当に大切なのは、その奥にある「人のまなざし」ではないでしょうか。

すべての保護者へ、そしてすべての保育士へ。
完璧じゃなくていい。けれど、誠実でいてほしい。
そんな願いを込めて、今日も保育の現場に感謝とエールを送ります。

<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4


コメント

タイトルとURLをコピーしました