保育園は、大切な小さな命を預かる場所です。保護者にとっては「信頼」、保育士にとっては「誇り」が何より大事なもの。でも、ときには制度のすきまに見落としが生まれ、心配な出来事が起きてしまうことも。今回は、東京都世田谷区の尾山台保育園で行われた監査指摘をもとに、「本来の保育」と「保育園選び」のヒントについて、いっしょに考えてみましょう。
この記事でわかること
- 保育園の監査で指摘された内容とその意味
- 子どもにとって大切な「当たり前の保育」とは何か
- 保護者として気をつけたい保育園のチェックポイント
- 保育士として納得して働ける職場を見つけるための視点
指摘内容から見えてくる「見過ごしてはいけないこと」
2024年7月24日、尾山台保育園にて東京都による定期の指導監査が行われました。その結果、以下のような5つの指摘事項がありました。
- 建物設備に衛生上不適切な箇所があった
→ 水回りやトイレ、調理室の清掃・設備状態に問題がある可能性が指摘されています。小さな子どもたちは免疫も弱いため、衛生環境は最も大切にされるべき基礎です。 - 安全計画の保護者周知がなかった
→ 万が一の地震や火災に備えた計画は、園内で完結するものではありません。保護者と連携し、緊急時にどう動くかを共有することが必要です。 - 児童の定期健康診断の実施回数が不足していた
→ 年に定められた回数の健康診断が義務付けられています。病気の早期発見・発育の確認が目的であり、「見守り育てる保育」に不可欠です。 - 附属明細書が未作成または不適切だった
→ 補助金の使途など、経営の透明性を示す書類です。公的資金を受けている保育園としての責任が問われます。 - 預金管理が適正に行われていなかった
→ 経理処理のミスや不透明な管理は、運営全体の信頼性に関わります。これは職員の待遇や保育環境にも影響を与えかねません。
こうした指摘は、一つひとつは小さなミスかもしれませんが、積み重なると大きな不安につながります。だからこそ、園側は原点に立ち返る必要があります。
本来の保育とは「整えること」
保育は、子どもを預かるという「表の仕事」だけでなく、その背景にある「整える仕事」がとても大切です。
例えば、清潔で安全な環境を整えること。行事や避難訓練の計画を立て、家族と共有すること。健康診断を実施し、子どもの変化に気づくこと。お金の使い方を透明にして、安心できる園づくりを支えること。
どれも「目に見えにくいけれど、大切なこと」。これらを誠実に行う姿勢が、信頼を育てます。
保護者の方へ:保育園を選ぶときに見てほしいこと
- 園の清潔さ:トイレや手洗い場、調理室の様子を見てみましょう。小さな配慮に園の姿勢があらわれます。
- 職員との対話:質問に丁寧に答えてくれる園は、保護者とのコミュニケーションを大切にしています。
- 書類やお知らせの内容:安全計画、健康診断の案内などが整っているか確認してみましょう。
- 開かれた運営:不明な点を聞いたとき、透明性ある説明があるかどうかも大切です。
保育士の方へ:転職時に見極めてほしいポイント
- 働く環境が整っているか
→ 休憩室、持ち帰り仕事の有無、職員同士の関係性などは、心地よく働くための土台です。 - 園の理念が、実際の保育に活かされているか
→ 理念は立派でも、現場が形だけになっていないか見極めて。見学や面接時の質問がカギになります。 - 管理体制が誠実であるか
→ 書類やお金の扱いに「ごまかし」がある園では、保育の質も危うくなります。チェックの仕組みがあるか確認を。 - 保護者との関係づくりが丁寧であるか
→ 子どもの安心には、家庭との連携が不可欠。職員にその意識があるかも大切な指標です。
まとめ
保育園は、子どもの未来を育てる「日々の積み重ね」の場です。だからこそ、運営の小さなひずみも見逃せません。
でも、指摘は終わりではなく、見直しのはじまり。保育の現場が、もっと信頼され、もっと誇れる場所になるために──保護者も保育士も、知ることから始めてみませんか。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
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