おそらく、保育園の掲示物など気にしたことがない、という方が多いのではないでしょうか。私もそのひとりでした。
しかし先日、ある保育園で「重要事項等の掲示がされていない」と指導監査で指摘を受けました。地味なようで、実は大きな意味を持つこの“掲示”。一体、何が問題だったのでしょうか?
■この記事でわかること
- 保育園の「重要事項等掲示」とは何か?
- 掲示がないことの保護者・職員への影響
- 今回の指摘が起こった背景と、本来あるべき保育園の姿
- 保育士目線で「園選び」のチェックポイントとは?
●指摘の内容:「重要事項等の掲示がされていなかった」
令和6年11月1日、世田谷区の「おともだち・ララ保育園」で実施された指導監査において、園内に「重要事項説明書」や「運営規程」など、保護者や来訪者に向けた情報掲示が確認できなかったという指摘がありました。
この「掲示」というのは、保育園の基本的な運営方針や利用条件、苦情対応の窓口など、いわば園の“顔”ともいえる情報です。
●背景:なぜ掲示がなかったのか?
現場からのヒアリングでは、「掲示物の貼り替えを行うタイミングで一時的に撤去し、その後、再掲示を失念してしまった」とのこと。つまり、“やろうとしていたけれど、うっかり忘れてしまった”パターンです。
こうした事態は、日々の保育に追われる中で起こり得ることではあります。ただし、掲示がないことは保護者の不安を招き、透明性や信頼性の低下につながります。
●本来すべき保育とは
保育園は、子どもを預かるだけの場所ではありません。家庭と協力しながら、安心して預けられる「共育(きょういく)」の場であるべきです。そのために、運営方針や対応体制を“見える化”しておくのが、最低限の責任です。
掲示は、保護者との信頼関係を築くための入り口。誰が見ても、「ここはきちんとやっている」とわかる仕組みを作ることが、保育の土台だといえるでしょう。
■転職活動中の保育士さんへ:園選びの“掲示物チェックポイント”
保育士として働く環境を選ぶ際にも、掲示物は重要なヒントをくれます。以下の点は見落とさないでください。
- 重要事項説明書や運営規程が、誰でも見える場所にあるか?
- 苦情受付窓口や担当者名が明示されているか?
- 毎月の予定表、給食献立、避難訓練の記録などが整理されて掲示されているか?
- 掲示が古くなっていないか(昨年のカレンダーがそのまま…なんてことも)?
園の情報をオープンにしている=職員にもフェアな姿勢である、というのはよくある話です。働く前に“掲示板”をよく見てみましょう。
■まとめ
掲示がない、ただそれだけで指導監査に引っかかってしまう。
けれどそれは、「その程度で怒られるなんて」ではなく、「その程度のことすら見落としてしまう状態」が問題なのです。
保護者にとっても、保育士にとっても、「見える化」は信頼の第一歩。
だからこそ、今日も私は園の掲示板のホコリを払います。そこには、保育の質があらわれているのです。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
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