子どもたちが毎日を過ごす保育園という場所は、安心と信頼の土台の上に成り立っています。
だからこそ、私たちはその土台がどのように築かれているのかを、時には静かに見つめ直す必要があります。
今回お届けするのは、世田谷区の「キッド・ステイ世田谷南保育園」で令和6年12月に行われた指導監査の記録から学ぶこと。
保護者として、あるいは保育士として、どんな視点で保育園を見つめたら良いのか。
そのヒントを、やさしく紐解いていきたいと思います。
この記事でわかること
- 指導監査での指摘内容とその背景
- 保育園に求められる運営の在り方
- 保育士が転職先を選ぶ際に意識したいこと
- 保育に関わる人たちへのエール
1. 指導監査とは、信頼を育てるための“定期点検”
保育園を運営するということは、子どもたちの命と未来を預かるという責任を担うこと。
行政による「指導監査」は、その運営が適正かどうかを確認するための大切な仕組みです。
世田谷区では、年に一度のペースで区内の認可保育園に対して指導監査が行われています。
これは「ミスを探すため」ではなく、園がより良くなるための“定期点検”とも言えるもの。
車を安全に走らせるために点検するように、保育園もまた、信頼を保つために点検されるのです。
2. キッド・ステイ世田谷南保育園での指摘事項
令和6年12月4日に実施された指導監査において、次のような指摘がありました。
① 適正に作成されていない計算書類があった
② 国庫補助金等特別積立金の処理が適正に行われていなかった
③ 前期末支払資金残高の法人本部への充当処理に誤りがあった
これらはすべて、財務・会計に関することです。一見、保育の現場とは直接関係がなさそうに見えるかもしれません。
しかし、これらの“数字の管理”は、園が子どもたちのためにどれだけの予算をどう使うかを決定づける、大切な部分です。
例えば、補助金の積立金を適正に管理していなかったとすれば、必要な教材が買えなかったり、人手を増やすことができなかったりする。
保育士の待遇や職場環境にも影響が出るかもしれません。
だからこそ、数字の管理は保育の質に直結するのです。
3. なぜこのようなことが起きるのか
保育園の運営は、現場の保育士だけではなく、法人本部、事務担当者など多くの人によって支えられています。
そして、園によっては、現場の保育と事務的な処理がうまく連携していないことがあります。
忙しい現場では、目の前の子どもたちの対応が優先されがち。
また、財務や会計の専門性が高く、事務担当者が一人で抱え込んでしまうこともあるでしょう。
そうした“すれ違い”の積み重ねが、いつの間にか適正な処理の漏れや誤りとなって表れるのです。
4. 本来あるべき保育とは
保育園は、「子どもを預かる場所」であると同時に、「子どもの育ちをともに喜び合う場所」でありたい。
そのためには、子どもたちが安心して過ごせるだけでなく、保護者が信頼して預けられ、保育士が誇りをもって働けることが大切です。
つまり、本来あるべき保育とは、
「安心・信頼・誠実」という三つの言葉に支えられたもの。
安心は、日々の丁寧な関わりから。
信頼は、言葉にしない気づきと思いやりから。
誠実は、どんなときも“子どもにとって最善は何か”を忘れないことから。
経理や運営といった一見“裏方”の仕事も、こうした保育の土台をつくる大切な仕事なのです。
5. 保育士が転職活動で見るべきポイント
転職を考える保育士にとって、「どんな園を選べばよいのか」は大きなテーマです。
保育内容や理念に共感できることはもちろんですが、指導監査の内容も、園の“誠実さ”を測るひとつの材料になります。
▽ 園選びのチェックポイント
- 過去の指導監査でどのような指摘を受けているか
- 法人の規模や運営体制(本部の支援体制など)
- 保育士の声が反映される仕組みがあるか
- 保育環境(人員配置・シフト・行事の負担)
- 保護者との関係性(苦情対応やコミュニケーション)
たとえ監査での指摘があったとしても、それをどう受け止め、どう改善していこうとしているのか。
そこにこそ、園の「姿勢」が表れます。完璧でなくても、誠実であること。
それが、長く安心して働ける場所かどうかの目安になります。
6. 保護者と保育士へ──やさしいエール
子育てをしながら、毎日忙しい朝を迎えている保護者の皆さん。
どうか「この保育園、大丈夫かな」と不安を感じたときは、園に聞いてみてください。
声をかけ、尋ねてみることは、信頼を深める第一歩です。
そして保育士の皆さん。
子どもたちの目線に合わせ、ひとりひとりをていねいに見守っているその姿勢こそ、社会がもっとも必要としている力です。
選ぶ園は、あなたが輝ける場所でありますように。
まとめ
保育園の運営は、とても多くの要素に支えられています。
そしてそのすべては、最終的に“子どもたちの笑顔”につながっていくものです。
指導監査というきっかけを通じて、私たちはまたひとつ、保育を見つめ直すチャンスを得ました。
誤りがあったとしても、それをどう受け止め、どう歩み直していくか。
そこに、信頼という名の未来が育っていきます。
今日もまた、保育という仕事に携わるすべての人に、心からの感謝を。
そして、すべての子どもたちがやさしい世界で育っていきますように。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
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