保育の舞台裏をのぞく:みずほ保育園大宮天沼の指導監査から学ぶ「まっすぐな運営」と園選びのヒント

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保育園という場所は、子どもたちにとって初めての「社会」であり、小さな一歩を踏み出す大切な場所です。そんな保育園の運営が、透明で健全であることは、保護者にとっても、働く保育士にとっても、何より大切な安心の源です。

今回は、さいたま市大宮区にある「みずほ保育園大宮天沼」で令和5年9月14日に実施された指導監査の中で指摘された内容をきっかけに、保育園の運営のあり方や、私たちが保育に求める「当たり前」について考えてみたいと思います。


この記事でわかること

  • 「資金の貸付(借入)」とはどういうことか、なぜ問題になるのか
  • 本来あるべき保育園の運営とは
  • 保護者が園を選ぶときにチェックしたいポイント
  • 保育士が転職活動で気をつけるべき園の体質
  • 保育という仕事の尊さと、日々奮闘する皆さんへのエール

指導監査という「定期点検」

保育園は、子どもを預かるという大きな責任を背負った場です。だからこそ、行政は定期的に保育園に対して「指導監査」を行い、運営が法令や指針に従っているかを確認します。

さいたま市では、令和5年9月14日、「みずほ保育園大宮天沼」に対してこの指導監査が行われました。そこで指摘された事項のひとつが、次のようなものでした。

「各施設拠点区分への資金の貸付(借入)については、当該年度内に清算してください。」

この一文だけでは、少し分かりづらいかもしれません。でもこれは、「お金の流れが複雑になっていて、年度をまたがないよう整理しましょうね」という注意なのです。


なぜ資金のやりとりが問題なのか

「みずほ保育園大宮天沼」は、法人が運営する保育園です。法人が複数の園を持っている場合、それぞれの園は「拠点」として区分され、独立して予算管理を行うのが原則です。

たとえば、A園で余ったお金をB園の赤字に使ってしまったり、資金を行ったり来たりさせてしまうと、どこで何にお金が使われたかが不透明になります。

今回の指摘は、こうした「拠点間の資金移動」があったことを意味しています。しかも、それが年度内に精算されていない。これは、「資金の透明性」と「年度ごとの会計管理」が守られていない可能性があるとみなされるのです。


本来あるべき保育園の姿

では、どのような保育園運営が理想なのでしょうか。

保育園というのは、営利目的ではなく、「子どもの最善の利益」を第一に考えて動く場です。そのためには、お金の使い方も明瞭である必要があります。

・何にいくら使ったのか
・どんな物品を購入したのか
・人件費はどう計算されているのか

こうした一つひとつが、クリアであること。これは保護者にとっても、働く保育士にとっても、「安心」の根拠になります。
仮に資金が移動したとしても、それが必要な事情による一時的なもので、かつ年度内にきちんと精算されていれば問題にはなりません。

つまり、当たり前のことを当たり前に行い、「公正に、丁寧に、誠実に」を心がけることが、保育園には求められているのです。


保護者の目線で園を選ぶときに見たいこと

保育園選びに悩む保護者の皆さんへ、運営体制の健全性を見極めるヒントをいくつかご紹介します。

  • 園のパンフレットやウェブサイトに「法人名」や「運営方針」が明記されているか
  • 定員や職員数、保育時間が公表されているか
  • 説明会などで園長先生が丁寧に話をしてくれるか
  • 苦情対応や緊急時の対応方針がしっかりしているか

また、できることなら「実際に足を運ぶ」ことが何より大切です。玄関に飾られている作品、子どもたちの表情、職員の動き……。それらの“空気”から、誠実な保育かどうかが少しずつ見えてきます。


転職活動中の保育士さんへ「見えない部分」を大切に

保育士としての転職を考えるとき、給与や休暇、待遇に目が行きがちです。それは当然のこと。でももう一歩踏み込んで、「運営の透明さ」や「法人の考え方」にも目を向けてみてください。

例えば、

  • 決算報告が法人のサイトなどで公開されているか
  • 職員会議の頻度や、意見が通りやすい風土かどうか
  • 労働条件が急に変わったりしないか(運営方針がコロコロ変わらないか)
  • 指導監査の結果に問題がなかったか

こうした「見えづらいけれど本質的な部分」が、自分を長く大切にしてくれる職場かどうかを判断する大きな手がかりになります。


子育てに、保育に、毎日向き合うあなたへ

最後に──。

日々、子どもたちの未来を信じて、泣き、笑い、ときに疲れ果てながらも向き合う保護者の皆さん。
そして、そんな子どもたちにまなざしを注ぎ、手を取り、成長をともに喜ぶ保育士の皆さん。

あなたたちの「まっすぐさ」が、子どもたちの明日を育てています。

保育の現場には、表からは見えない苦労がたくさんあります。だからこそ、私たちはそうした現場に「健全な仕組み」が必要だと強く思うのです。

透明な運営は、信頼を育て、信頼は安心をつくります。安心の中で、子どもたちはのびのびと生きる力を伸ばしていけるのです。


まとめ

「資金の清算」という一見専門的な指摘事項の裏には、「子どもたちのために、ちゃんとやりましょうね」という当たり前の願いが込められていました。

これから保育園を選ぶ保護者の方も、転職を考える保育士さんも、どうか焦らず、じっくりと「信じられる園」を選んでください。そして、いまの毎日を、自分なりのペースで大切に歩んでいってください。

保育の現場は、未来をつくる場所です。
私たちは、その尊さを忘れずに、今日も子どもたちの笑顔とともに歩んでいきましょう。


<参考>さいたま市 児童福祉施設等に係る一般指導監査の実施結果

児童福祉施設等に係る一般指導監査の実施結果について
児童福祉施設等に係る一般指導監査の実施結果を公表します。

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