子どもを育てるということは、小さな芽を見守ること。保育園は、そんな芽が育つ土壌であり、陽のあたる場所でもあります。だからこそ、そこに根を張る運営は、信頼という水をたっぷり含んでいなければなりません。さいたま市北区の「みずほ保育園大宮大成」で行われた令和5年の指導監査において、一つの気づきがありました。この記事では、その内容を丁寧に読み解き、保護者のみなさんが安心して園を選べるように、また、保育士の方々が大切にしたい園のあり方を考えるヒントをお届けします。
この記事でわかること
- 指摘事項「施設拠点間の資金貸付」って何?
- 保育園運営における“お金”の健やかなあり方とは
- 保護者が安心して園を選ぶためのチェックポイント
- 保育士が働きたい園を見つけるときに見るべきこと
- 誰もが支え合う保育の世界の美しさと課題
小さな指摘に込められた、大きな意味
令和5年9月15日、さいたま市が実施した「みずほ保育園大宮大成」の指導監査において、以下のような指摘がありました。
① 各施設拠点区分への資金の貸付(借入)については、当該年度内に清算してください。
一見すると難しそうなこの一文。ですが、根っこにあるのはとても大切なこと。「保育園は、その場所に通う子どもたちのために使われるべきお金を、その場所で適切に管理し、透明に運営してくださいね」という市からの優しいメッセージなのです。
お金の流れは、信頼の流れ
みずほ保育園は、複数の施設を運営する法人によって管理されています。こうした「拠点」がいくつかあると、ときにはお金を貸したり借りたり、ということが必要になる場面も出てきます。
例えば、ある拠点で一時的に資金が足りなくなり、別の拠点から借り入れを行う。そんなことも起こり得ます。しかし、それが年度をまたぐと「その拠点に使うべきお金が、他の拠点に使われてしまっている」という誤解を招きかねません。
それを避けるために、「年度内に清算を」というルールがあるのです。これは、保育園を利用するご家庭の安心にもつながりますし、働く保育士にとっても「自分の職場は、ちゃんとしている」と感じられる大事な根っこです。
保護者が見るべき“園選び”のポイント
では、保育園を探す親として、こうした情報をどう読み取ればいいのでしょうか。以下の3つの視点で園を見ることをおすすめします。
- 情報公開への姿勢
市の監査結果をしっかり公開しているか? そして、指摘にどう対応しているかを知ることで、園の誠実さが見えてきます。 - 園の“お金”の考え方
園の運営方針に「透明性」や「説明責任」といったキーワードがあるかを、ホームページや入園説明会でチェックしてみましょう。 - 先生たちの働く様子
職員の表情や話し方から、「この園は大事にされているな」「信頼し合って働いているな」という雰囲気を感じ取ることができます。
子どもを預けるというのは、命を預けること。その背景にある運営の健やかさも、ぜひ見逃さないでください。
保育士として選ぶ「安心して働ける園」とは
保育士として働くみなさんにも、園選びはとても大切です。スキルや熱意だけでなく、心が安心できる環境を選ぶことが、長く働くうえでの土台になります。
- 経営の透明性
法人全体の運営情報がオープンにされているか、指導監査の結果をどう受け止めているかを知ることで、自分の働きがどこにつながっているかを実感できます。 - チームの風通し
小さな疑問や困りごとを共有しやすい雰囲気があるか。チームの温かさは、日々のストレスをぐっと和らげてくれます。 - 自分が大切にされていると感じられるか
園の理念に「職員も子どもも、互いに育ち合う場である」といったメッセージがあれば、きっとそこは「いい園」です。
働く場所も、生きる場所。保育士としての時間を、もっと心地よくする選び方が、ここにあります。
まとめ──すべては、子どもたちの未来のために
みずほ保育園大宮大成の指導監査の指摘から見えてくるのは、ただの“ルール違反”ではなく、「信頼」と「透明性」という価値を、どう日々の運営に根づかせていくかという問いかけです。
保育という営みは、目には見えないやさしさと、毎日の積み重ねでできています。だからこそ、見えにくい運営の部分にこそ、ていねいな光を当てることが大切。
保護者も、保育士も、そして子どもたちも──。それぞれの立場から、思いやりと安心を育て合うことが、きっとよりよい保育の未来につながっていくはずです。
<参考>さいたま市 児童福祉施設等に係る一般指導監査の実施結果
https://www.city.saitama.lg.jp/003/001/009/p008438.html
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