子育てと仕事、その両方を大切にできる保育園を選ぶために 〜未来ほしの子保育園の指導監査から考える、働き方と育ち方〜

就業規則 さいたま市
就業規則

ある保育園で起きたひとつの出来事が、私たちの日常に、やさしく、そして静かに問いかけてきます。保護者が安心して子どもを預けることができ、保育士が自分の生活も大切にしながら子どもと向き合える職場。それは、きっと、特別なことではなく、当たり前であってほしいと願う環境です。

2023年12月13日、さいたま市西区の未来ほしの子保育園で実施された指導監査では、育児・介護休業法に則った労働時間の短縮措置について、不備があるとの指摘がありました。これは、誰かを責めるための報告ではなく、これからをよりよくするための気づきでもあります。

本記事では、この出来事を入り口に、子育てと仕事の両立とは何か、保護者として、あるいは保育士として、保育園という場所に何を求め、どう選ぶべきかを、やさしく、ていねいに考えてみたいと思います。


この記事でわかること

  • 育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度とは何か
  • なぜ制度の整備が必要なのか
  • 保育園を選ぶときに見てほしい視点
  • 保育士が安心して働ける環境とはどんなものか
  • 子どもにとって大切な「まなざし」を育む場所とは

1. 小さな指摘が教えてくれる、大きなこと

ある冬の日、未来ほしの子保育園での指導監査報告書に、こんな一文がありました。

「育児のための所定労働時間の短縮措置の規定について、育児・介護休業法に基づき必要な事項を定めてください。」

これはつまり、法律に基づいた「子育てと両立できる働き方」が十分に明文化されていなかったということです。言い換えれば、保育士自身が子育てをしながら働く際に必要な制度が、整っていなかった可能性があるのです。

私たちの暮らしは、制度という見えない支柱によって支えられています。それが欠けると、毎日の営みが、知らず知らずのうちに無理を重ねてしまうことになるかもしれません。小さな指摘は、働く人を守るための、大きな意味を持っているのです。

2. 短時間勤務制度とはなにか?

育児・介護休業法では、3歳に満たない子どもを育てる従業員が希望すれば、所定労働時間を1日6時間まで短縮できる「短時間勤務制度」の導入が義務付けられています。

たとえば朝9時から午後3時までの勤務にすることで、保育園への送迎や家事、育児の時間を確保できます。これは単なる「短い時間働く」制度ではなく、親としての役割と、職業人としての役割を、どちらも丁寧に果たせるようにするための仕組みです。

制度が整っている職場では、子育てを理由に退職する人が減り、働く人の意欲や定着率が高まるとも言われています。保育士自身が安心して子育てできること。それは、巡り巡って、預かる子どもたちにも、やさしい保育となって返ってくるのです。

3. 保育園を選ぶとき、こんな視点を大切にしてみてください

保護者の皆さんにとって、保育園を選ぶということは、我が子の未来を託すことです。そのとき、ぜひ見てほしいのは「働いている人たちの表情」です。保育士がいきいきと働いている園は、子どもにとっても居心地のいい場所であることが多いからです。

短時間勤務制度があるかどうか、有給休暇が取りやすいか、産休育休の取得実績があるかといった情報は、園のHPや説明会で確認できます。でも、もっと大切なのは、園内を歩く保育士の声のトーンや、子どもに接するときのまなざしです。そこに、安心と愛情があるかどうか。

情報に頼るのではなく、感じ取ること。保育園選びには、少しだけ五感を澄ませてみることが、何よりの道しるべになると思います。

4. 転職活動中の保育士へ

保育の現場で働くあなたへ。

もし、あなたがいま、働く場所を探しているのなら、給与や立地といった条件だけでなく、「自分の暮らしを大切にできる職場かどうか」という視点を持ってみてください。

短時間勤務や時短正社員制度の有無、育児中の職員への配慮、チームとして支え合う文化があるかどうか。求人票には書かれていないけれど、見学のときに「お互いさま」と口にする園長の言葉や、忙しい中でも笑顔を忘れない先輩の姿に、きっとヒントがあるはずです。

自分を大切にしてくれる場所でこそ、子どもを大切にできる。それはきっと、保育という仕事に携わる者としての、誠実な選択です。


まとめ

未来ほしの子保育園の指導監査での指摘は、「制度が足りなかった」という小さな問題に見えます。でも、その背景には、「働く人の暮らしにもっとやさしくあろう」という願いが込められているようにも感じます。

保育は、子どもたちの未来を育む営みであると同時に、働く大人たちの今を支える場所でもあります。保育士が笑っていれば、きっと子どもたちも笑っている。保護者が安心して働ければ、きっとその子どもも心穏やかに育っていく。

保育園という場所に、そんなやさしさと誠実さが満ちていることを願って。

今日も、がんばるすべての保育士さん、子育てに向き合うお母さん、お父さんへ。

静かに、まっすぐに、エールを送ります。

<参考>さいたま市 児童福祉施設等に係る一般指導監査の実施結果
https://www.city.saitama.lg.jp/003/001/009/p008438.html

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