子どもを育てるということは、毎日が決して同じではない中で、小さな幸せを見つけながら、手さぐりで歩いていく旅のようなものです。保育園というのは、その旅を共にする心強い仲間でもあり、子どもたちが初めて社会と出会う場所でもあります。
今回は、調布市の「調布そらいろ保育園」で行われた令和5年の指導監査について、少し立ち止まりながら、その指摘事項が何を意味するのか、そして保護者や保育士がどのような視点で園を選び、見つめていけばいいのかを考えてみたいと思います。
この記事でわかること
- 指導監査で指摘された「給与未払い」「給与規程の不明瞭さ」とはどういうことか
- なぜこうした問題が起きるのか、その背景
- 保育園が本来果たすべき役割と、子どもたちにとっての健やかな環境とは
- 保育士として働く際に確認したい園選びのポイント
- 保護者が園を選ぶ際に意識したいこと
- 子どもたちの幸せを願いながらできること
1. 保育という仕事は、愛と責任でできている
朝の登園時、小さな手を引いて門をくぐる。そんな日常の一コマには、親と保育士の信頼がそっと隠れています。
保育士は、子どもの小さな表情や体の変化に気づき、安心と学びを織り交ぜながら一日を丁寧に見守ります。その仕事は、言葉にし尽くせないほどに繊細で、尊いものです。
そんな保育士の存在を支えるもの。それは「きちんとした労働条件」と「透明な運営体制」であるべきです。
2. 指導監査から見えたこと──給与の支給と規程の不備
令和5年10月11日に行われた調布市の指導監査において、調布そらいろ保育園では次の2点が指摘されました。
① 職員の給与が適正に支給されていない
② 給与規程の内容が不明瞭である
一見すると事務的な問題に見えるかもしれませんが、これは保育士一人ひとりの働く安心に直結する、極めて重要な指摘です。
給与がきちんと支払われないということは、生活の不安を生み、心に余裕がなくなることにもつながります。それは子どもたちとの関わり方にも影を落としかねません。
3. なぜ、こうした問題が起きるのか
原因はさまざまです。
中には、急成長する法人で事務体制が追いついていないというケースもあれば、人件費を必要以上に抑えようとする経営姿勢によることもあります。
いずれにしても、給与に関するトラブルは「職員を大切にしていない」というサインでもあります。そして、それはやがて保育の質にも影響を与えてしまいます。
4. 本来の保育とは──信頼で成り立つ毎日
保育とは、子どもの「今日」をまるごと預かる仕事です。
そこには、遊びの中での学びもあれば、泣いたり笑ったり、ぶつかったりするなかで育つ心の力も含まれています。
保育士はそのすべてを、まっすぐに受け止める存在です。そして、保護者は、その姿に「この人たちなら大丈夫」と安心して子どもを託すのです。
そんな信頼を支えるのは、「健全な運営」と「透明な規則」、そして「互いに認め合う関係」です。
5. 保護者が園を選ぶときに心に留めておきたいこと
保育園を選ぶとき、「園庭の広さ」や「カリキュラム」だけではなく、次のような点にもぜひ目を向けてみてください。
- 保育士の表情に余裕があるか
- 園長や職員が気さくに話せる雰囲気か
- 保育士の入れ替わりが多くないか
- 運営法人が公開している情報に透明性があるか
「安心して働ける職場」は「安心して預けられる保育園」とつながっています。職員が大切にされている場所は、きっと子どもも大切にされているのです。
6. 保育士が園を選ぶときに考えておきたいこと
転職を考える保育士の皆さんにも、ぜひ次のような視点を持ってほしいと思います。
- 給与規程や就業規則を見せてもらえるか
- 離職率や職員の定着状況はどうか
- 園の理念と日々の実践にずれがないか
- 職員間のコミュニケーションが円滑か
保育士は「誰かのために」を思って働く人が多いからこそ、自分を大切にする目線を忘れずにいてほしいのです。
まとめ──子どもたちの未来のために、大人ができること
子どもたちは、まっさらな目で大人たちを見ています。
だからこそ、私たち大人は「約束を守る」「安心して話せる」「困ったら助け合える」──そんな姿を日々のなかで見せていきたい。
保育園選びも、保育の仕事も、その延長線にあります。
保護者も、保育士も、それぞれに迷いながら、でも子どもたちのために一生懸命に生きている。そのこと自体が、何よりも尊いことです。
どうか、あなたの選ぶ場所が、安心と信頼と温もりに満ちた場所でありますように。
そして、毎日の小さな頑張りが、誰かの笑顔につながっていますように。
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