保育園は、子どもたちと保護者、そして保育士がともに育ち合う「まちの居場所」。だからこそ、小さな手続きひとつにも、私たちは誠実でありたいものです。今回は、調布市の調布上ノ原保育園での指導監査から、「認可内容の変更届出」という見過ごされがちな手続きについて考えます。保護者には安心を、保育士には仕事選びのヒントを、そしてすべての子どもたちにやさしさを──そんな願いをこめて。
この記事でわかること
- 認可保育園の「認可内容」とは何か
- 調布上ノ原保育園で起きた指摘事項の背景
- 変更届出を怠ることで生じる問題点
- 保護者が保育園選びで見るべき視点
- 転職を考える保育士が確認すべき園のポイント
小さな「変更」が大きな信頼を揺るがすこと
調布上ノ原保育園で行われた令和5年11月20日の指導監査において、「認可内容の変更を届け出ていない」という指摘がされました。
一見、手続き上のミスに見えるかもしれません。けれど、この「届け出」は、行政と保育園との約束であり、ひいては保護者と子どもへの約束でもあります。
たとえば、園の定員、保育時間、保育方針、施設の構造、職員の配置など。これらはすべて「認可内容」に含まれます。
変更があった場合は、その都度、行政に届け出て、承認を受けなければなりません。
調布上ノ原保育園では、その「届け出」がなされていなかった──つまり、行政が把握している園の状態と、実際の運営にズレがあったということです。
なぜ「届け出」が必要なのか
それは、保育園が「子どもの福祉」を守る公共性の高い場所だからです。
保育とは、ただ子どもを預かる場所ではありません。心を育て、社会とつなぐ営みであり、家庭と連携する「信頼の場」です。
そのために、行政が定めた枠組みに沿って運営されることが求められます。変更があれば、それを正直に報告し、評価を受ける。この姿勢こそが、保育園の信頼につながるのです。
指摘から見える背景とは
では、なぜ届け出がなされなかったのでしょうか。
背景には、いくつかの可能性があります。
- 変更の認識が甘かった(=「これくらいは大丈夫」と判断してしまった)
- 手続きが煩雑で、現場が追いつかなかった
- 職員の体制や引き継ぎが不十分だった
いずれにしても、運営側が「忙しさ」や「慣れ」を理由に、手続きを後回しにしてしまった結果とも言えます。
この出来事から、私たちは「保育の質は、目に見えるところだけでなく、目に見えないところ──たとえば誠実さ──にも宿る」と学ぶことができます。
保護者にとっての保育園選びの視点
子育てをしていると、目の前のことで手一杯。保育園選びも「場所が近い」「預けやすい」といった利便性に目がいきがちです。
でも、今回のような出来事が示すのは、「透明性」や「誠実さ」といった姿勢も、とても大切だということです。
チェックしたいポイント
- 定期的に保護者説明会が行われているか
- 園の方針や変更について、きちんと説明されているか
- 職員の入れ替わりが激しくないか
- 行政の監査報告書(自治体のHPなど)を一度確認してみる
保育園は「子どもを預ける場所」ではなく、「子どもと一緒に育つ場所」。だからこそ、園の誠実な姿勢を見抜く目をもちたいですね。
転職活動中の保育士へ──「選ばれる」より「選ぶ」保育を
保育士として転職を考えるとき、「給与」「休暇」「通勤距離」など、現実的な条件はもちろん大切です。けれど、もう一歩深く、自分がどんな保育をしたいか、そのためにどんな園が合うのか──自分の価値観で選ぶ視点も持ってみませんか?
園選びのヒント
- 園の運営法人の姿勢や、過去の監査結果を確認する
- 面接時に、「認可内容の変更届出などはきちんとされていますか?」と聞いてみる
- 自分の保育観を受け止めてくれる風土があるか
- 園内でのチームワークや職員間の雰囲気を感じ取る
「ちゃんと守るべきことを守っている」園で働くことは、自分の保育にも、子どもにも、安心をもたらします。
誠実な園は、保育士の背中にもやさしく寄り添ってくれます。
まとめ──やさしさは、きちんと届け出ることから始まる
届け出というのは、ただの書類ではありません。
それは、私たちが「信頼します」「約束を守ります」と宣言する行為。
そして、それは保育という仕事の、本質でもあるのです。
調布上ノ原保育園の事例を通じて、私たちは大切なことを学びました。
それは、「保育は人の手で成り立っている」ということ。忙しさに流されないように、少し立ち止まって、確認しあう時間が必要です。
子どもたちが笑顔で過ごせる毎日は、そんな小さな積み重ねから生まれます。
保護者も、保育士も、自分自身を信じながら、選び、育ちあっていきましょう。
<参考>調布市 特定教育・保育施設の指導検査
https://www.city.chofu.lg.jp/050010/p027027.html
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