お金の流れから見えてくる、保育の「まごころ」——調布市しきの森保育園の監査指摘から考えること

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保育園は、子どもたちの笑顔があふれる場所であると同時に、多くの人の信頼によって成り立っています。その信頼をつなぐひとつに「お金の管理」があります。調布市のしきの森保育園で行われた令和5年12月19日の指導監査で、「資金移動を適正に行っていない」との指摘がありました。

この事実を、ただの問題として片付けるのではなく、「なぜそれが起きたのか」「本来どうあるべきだったのか」、そして「私たちが保育園を選ぶとき、どんな目で見ればいいのか」を、保護者と保育士の両方の立場から、ていねいに考えてみたいと思います。


この記事でわかること

  • 「資金移動を適正に行っていない」とは具体的にどういうことか
  • 保育園が行うべきお金の管理とは
  • 保護者として保育園に何を求めるべきか
  • 保育士として園を選ぶときに大切にしたい視点
  • 子どもたちにとって安心な場を守るための、私たちの気づき

■「資金移動を適正に行っていない」とは?

保育園は、自治体から支給される補助金や保護者からの保育料など、さまざまな資金によって運営されています。そのお金は、食材費、教材費、職員の給与などに使われるべきもの。

今回、しきの森保育園に対する指導監査で指摘された「資金移動を適正に行っていない」というのは、このお金の出し入れや管理が、定められたルールに従っていなかったことを意味します。

たとえば、以下のような事例が考えられます。

  • 会計上、園の運営費とその他の支出が混在していた
  • 保育事業とは関係のない口座に資金が移されていた
  • 現金の管理がずさんで、誰が何のために使ったかが記録されていない

これらは、故意でなくても、忙しさの中で「ちょっとぐらい…」という気のゆるみから生まれてしまうこともあるのです。


■なぜ資金の透明性が大切なのか

保育というのは、目に見えにくい仕事です。たとえば「お昼ご飯を残さず食べられるようになった」「お友だちとけんかして、でも仲直りできた」。そんな日々の小さな成長に寄り添う、丁寧な営み。

だからこそ、お金の使い道には、特に「透明性」と「誠実さ」が求められます。見えないところで手を抜いていたら、見えるところにもゆがみが出てきてしまう。これは、保育士が誰よりもよく知っていることではないでしょうか。


■本来あるべき「保育とお金の関係」

本来、保育園のお金の流れは次のように整っている必要があります。

  • 予算に基づき、目的に沿ってお金を使う
  • すべての収支を記録・保存し、後で見直せるようにする
  • 関係者以外の口座や私的な使途への支出は避ける

これは、保育園という「子どもたちと家族の未来」を預かる場所としての、最低限の責任です。そしてこれは、お金のことだけでなく、園全体の「姿勢」にもつながるのです。


■保護者が「信頼できる保育園」を見抜く視点

保護者の立場から見ると、お金の管理なんて見えない部分のように感じるかもしれません。ですが、次のようなポイントから、園の誠実さや透明性を感じ取ることはできます。

  • 毎月の保育料や延長料金が明瞭に説明されているか
  • 保育料以外に必要な費用の内訳がちゃんと開示されているか
  • 見学のとき、職員が親切に応対してくれるか
  • 園長先生や主任保育士が自信と誠意を持って話しているか

つまり、「お金をどう扱っているか」は、「人をどう扱っているか」に通じているのです。


■保育士が園を選ぶときに大切にしたいこと

一方で、保育士として働く側も、園を「選ぶ」時代になりました。求人票だけでは見えない部分を、しっかり見極めたいものです。

  • 給与や残業代が明瞭に支払われているか
  • 会計がしっかりしていて、必要な備品や研修費がきちんと使われているか
  • 経営陣が現場の声に耳を傾けているか

資金管理がずさんな園では、結果的に職員が自腹で買い物をしたり、正当に評価されなかったりすることもあります。園の体質は、職員の笑顔にも直結しているのです。


■すべては、子どもたちのために

わたしたちがなぜ「お金の話」をするのか。それは、子どもたちの未来に、まっすぐな保育を届けるためです。

どんなに立派な園舎でも、どんなに派手なプログラムでも、お金の使い方に誠実さがなければ、本当にあたたかな保育にはならない。

誠実に、丁寧に、子どもたちのために。そんな園を選び、そんな保育を守っていくことが、私たち大人の役割なのだと思うのです。


まとめ

今回の指摘から見えるのは、「資金移動」という形式的な問題以上に、保育という営みに対する姿勢です。保護者にとっても、保育士にとっても、保育園を選ぶということは、「子どもたちの未来を誰に託すか」を選ぶということ。

どうか、子育てにがんばる保護者のみなさんも、保育という大切な仕事に向き合う保育士さんも、自分の目と心を信じて、まっすぐな選択をしてほしいと願います。

あなたのそのやさしさが、子どもたちの毎日を、未来を、きっともっと明るくしていくはずだから。

<参考>調布市 特定教育・保育施設の指導検査
https://www.city.chofu.lg.jp/050010/p027027.html


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