「小さな備えが、大きな安心に変わる――町田市たけとんぼ保育園の指導監査から学ぶ、保育の“もしも”に向き合う姿勢」

避難訓練 安全
避難訓練

子どもたちの笑顔を守るために、保育の現場では日々、さまざまな工夫や努力が積み重ねられています。しかし、どんなに想いがあっても、時には見落としてしまうこともある。2024年9月、町田市のたけとんぼ保育園で実施された指導監査において、「避難・消火訓練を毎月実施していない」という指摘がありました。この事実を、どう受け止めたらよいのか。大切なのは責めることではなく、気づき、学び、活かすこと。保護者と保育士、それぞれの立場で考えたい、保育の“安心”についてのお話です。


この記事でわかること

  • 指導監査の指摘事項の内容と背景
  • 避難・消火訓練の意義と本来の保育の在り方
  • 保育園選びで保護者が大切にしたい視点
  • 保育士が転職先の園を選ぶ際のチェックポイント
  • 子どもを育て、保育を支えるすべての人へのエール

1.「指摘」という言葉の向こうにある、現場の声

2024年9月3日、町田市による保育園への定期的な指導監査。その中で、たけとんぼ保育園に対して「避難・消火訓練を毎月実施していない」という指摘がされました。聞けば、「えっ、大丈夫なの?」と心配になる方もいるかもしれません。

でも、こうした指摘は、単なるチェックリストでは測れない、現場の事情が背景にあることが多いのです。例えば、急な職員の欠員や体調不良、園内での感染症対応など、日々の運営に追われる中で「今月はできなかった」ということも、現実としてあります。

もちろん、法律やガイドラインでは「毎月1回以上の避難訓練・消火訓練の実施」が求められています。なぜなら、それは万が一の災害時に、子どもたちと職員の命を守る、大切な備えだからです。

でも私たちは、忘れてはいけません。園で働く保育士さんたちも、日々、子どもたちに真摯に向き合っていること。指摘は「責めるもの」ではなく、「よりよくするためのきっかけ」だということを。


2.訓練とは、習慣をつくること

避難訓練や消火訓練と聞くと、堅苦しいイメージがあるかもしれません。けれど、本当に大切なのは、「もしものとき、体が自然に動く」こと。

それを可能にするのが、“習慣”です。

火災や地震が起こったとき、子どもたちは泣くかもしれない。職員はパニックになるかもしれない。そんなときにこそ、日頃の訓練が命を守る力になります。たとえそれが毎月1回の短い訓練でも、意味がある。

繰り返し繰り返し行うことで、体が覚え、心にしみ込む。大きな声を出さなくても、自然とみんなが動けるようになる。避難訓練は、ただの形式ではなく、園全体の“安全の文化”を育てる時間なのです。


3.保護者として、知っておきたい「安全の見える化」

保育園を選ぶとき、立地や園庭の広さ、給食の内容など、気になるポイントはたくさんあると思います。でも、見えにくいけれど本当に大事なのは、「安全のために、どんな取り組みをしているか」。

たとえば、園の掲示板に避難訓練の記録が貼ってあるか。月ごとの実施状況や訓練内容を公開しているか。入園前の見学のときに、「避難訓練はどうしていますか?」と聞いてみるのもおすすめです。

また、子どもが帰ってきて「今日は地震の訓練したよ」と話してくれたら、それは園が丁寧に備えをしている証拠でもあります。小さな会話を、大切に。

保護者もまた、園の一員です。共に子どもを守るパートナーとして、安心できる環境を一緒につくっていく存在なのです。


4.保育士として、選びたい園の姿勢

一方で、保育士として転職や就職を考えるとき、「この園はどんな価値観で保育をしているのか」を知ることはとても大切です。

避難訓練や安全管理が後回しになっている園は、他の面でも「仕方ない」で済ませてしまっている可能性があります。でも、逆にいえば、指摘を受けてすぐに改善できる園は、「学び、成長する力がある園」とも言えます。

見学のときにチェックしたいポイントは:

  • 年間の避難訓練スケジュールがあるか
  • 担当者がいて、記録が整っているか
  • 職員会議で安全について話し合っているか
  • 指摘事項をどう改善したか、過去の記録を見せてもらえるか

保育の仕事は、目に見えない責任と愛情の積み重ね。だからこそ、「当たり前のことを、当たり前にできる園」で働くことが、自分自身を守ることにもつながります。


まとめ

指導監査の「指摘」を聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。でもそれは、保育の現場をよりよくするための“光”でもあります。たけとんぼ保育園のケースも、「責められるべき失敗」ではなく、「見直しと前進のチャンス」として捉えたい。

保護者にとっても、保育士にとっても、子どもたちの命を守るという同じ願いがあります。そのためには、毎日の小さな備えと、誠実な姿勢が何よりも大切です。

完璧じゃなくていい。けれど、誠実でありたい。

そんな保育園を選び、そんな保育を支える大人でありたいと、私は思います。がんばる保護者の皆さん、現場の保育士の皆さん。あなたの頑張りが、今日も子どもたちを笑顔にしています。

<参考>町田市 実地指導の結果
https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/ninka-shidou/hoiku.files/jidou2024_1kekka.pdf


コメント

タイトルとURLをコピーしました