保育園選びの「見えない安心」を考える 〜町田市成瀬なかよし保育園の指摘から学ぶこと〜

細菌検査 町田市
細菌検査

私たちが子どもを預ける保育園には、目には見えない安心があります。それは、おいしいごはんが安全に作られていること。笑顔の先生が、きちんとした環境で働いていること。そして、行政によって定期的に見守られていることも、その一つです。
今回は、町田市にある「成瀬なかよし保育園」での指導監査をもとに、ひとつの小さな指摘事項を通して、「本来あるべき保育」について考えてみたいと思います。保護者の方にも、転職を考える保育士の方にも、やさしく、そして心に残るように、そっとお届けします。


この記事でわかることのポイント

  • 指導監査で指摘された内容とその背景
  • 食の安全において保育園が本来行うべきこと
  • 保育士が園を選ぶときに見るべき「安心のしるし」
  • 子育て中の保護者や保育士に届けたい、励ましのメッセージ

小さな指摘が教えてくれる、大きな安心

2024年8月8日、町田市の「成瀬なかよし保育園」で行われた定期指導監査の中で、ひとつの指摘がありました。それは、「調理・調乳担当者の検便が未実施である」というものです。
保育園という場所では、毎日子どもたちのためにご飯が作られ、おやつが用意され、ミルクが温められています。その作業に関わる人が健康であることは、子どもたちの命を守るという意味でも、非常に重要です。検便とは、食中毒を引き起こす可能性のある病原菌を持っていないかを確認するための、保育施設にとって当たり前の手続きのひとつです。

では、なぜそれが「未実施」だったのでしょうか? そこには、単なる「うっかり」や「忙しさ」にとどまらない、構造的な課題があることも想像できます。


背景にあるのは、現場の忙しさと人手不足

保育園の毎日は、想像以上に忙しいものです。朝の受け入れから、午前中の活動、給食、午睡、午後の活動、そしてお迎えまで、子どもたちの一日を豊かに、そして安全に過ごさせるために、職員は常に動いています。
調理室の中も同じです。限られた人数で、栄養バランスを考え、アレルギーにも配慮しながら、一食一食を丁寧に作っています。

そんな中で、つい後回しになってしまうことがあるのも、また現実です。
「検便」のような書類管理や保健衛生管理は、外からは見えにくいけれど、園の信頼を支える大切な仕事です。そして、その仕事が回らない背景には、慢性的な人手不足、あるいは職員の定着の難しさなど、深い課題が横たわっているのかもしれません。


本来あるべき保育とは

では、「本来あるべき保育」とはどのようなものでしょうか。
それは決して、完璧であることではないと思います。どんな園にも忙しさがあり、どんな人にもミスはあります。でも、重要なのは、「安心のために、最低限守られるべきことが守られているかどうか」。

特に食に関しては、子どもたちの身体に直接影響を与えるものであり、「検便」のようなチェックは、義務であると同時に、保護者との信頼をつなぐ見えない手紙のようなものです。

理想的な保育とは、誰か一人が頑張っているのではなく、チームとして、気づき合い、助け合いながら動いていること。その結果として、目の前の子どもたちが笑顔で過ごせることなのではないでしょうか。


保育士が転職で園を選ぶときのチェックポイント

今回の事例を踏まえて、転職を考えている保育士の方にも、少しだけお話をさせてください。

保育園を選ぶとき、園舎のきれいさや、給与、福利厚生ももちろん大切です。でも、それ以上に「見えない安心」を確認してほしいのです。

園選びのチェックポイント

  1. 職員の定着率や勤続年数
     長く働く人が多い園には、それだけの理由があります。
  2. 衛生管理の体制
     食中毒予防、手洗い指導、検便や日常的な健康チェックなど、しっかり整備されているか。
  3. 職員間のコミュニケーション
     朝のミーティングや定例会議が定期的に行われている園は、トラブルの予防意識が高いことが多いです。
  4. 保護者との連携の姿勢
     連絡帳の内容や、説明会での姿勢から、誠実さが感じられるかを見てください。
  5. 指導監査の結果の透明性
     市区町村のホームページで公開されることが多いので、一度目を通してみるとよいです。

「この園でなら、安心して働ける」と思える場所を選ぶことが、あなた自身を守り、そして子どもたちの笑顔につながります。


まとめ:わたしたちの保育は、誰かの小さな幸せを守っている

子育てをする親としても、保育の仕事に携わる人としても、忘れてはいけないのは、「自分の頑張りが、誰かの毎日を支えている」という事実です。

たった一つの検便の未実施という指摘。
そこには、「あたりまえを守ることの難しさ」と、「守られたときの安心の大きさ」の両方が見え隠れしています。

保護者の方は、どうか園のすべてを完璧に求めすぎず、温かく見守ってください。
保育士の方は、どうか自分を責めすぎず、安心して働ける園を選んでください。

見えないところで、誰かが今日も子どもたちのために動いている。
そのことを信じながら、私たちはまた一歩、やさしい保育の未来に近づいていくのです。

<参考>町田市 実地指導の結果
https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/ninka-shidou/hoiku.files/jidou2024_1kekka.pdf


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