こんにちは。ニュースを見ていると、「事実だけではなく背景が知りたい」とよく思います。保育の世界でもそれは同じ。指摘事項というと、つい「ダメな園なんじゃないか?」と思ってしまう方もいるかもしれません。でも、そう短絡的に切り捨ててはいけないと私は思います。
今回は、世田谷区のオリービア保育園で行われた令和6年7月3日の指導監査での2つの指摘から、「なぜ起きたのか?」「保育の本質とは何か?」を保護者と保育士、両方の視点で一緒に見ていきたいと思います。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
【この記事でわかること】
- 世田谷区の指導監査で出た2つの指摘とは?
- どうして起きたの?背景と本来の保育の在り方
- 保活中の保護者がチェックすべき「見えにくい大事なこと」
- 転職活動中の保育士が見るべき園の“深層”
■ 指摘事項① 「安全計画の保護者周知がなかった」
◎ 何が起きたのか?
保育園は毎年、安全に関する計画(避難訓練の内容や非常時の対応など)を立てています。これは単なる“お役所向けの書類”ではなく、保護者と「どう命を守るか」という共通認識を持つための大事なツールです。
今回の指摘は、その計画が保護者にしっかり伝えられていなかった、ということでした。
◎ なぜ伝えられなかったのか?
多くの園では、年度初めの説明会や配布資料で周知を行います。しかし、保育現場は日々多忙。つい後回しになっていた、または形式的にやったつもりになっていた、という可能性があります。
◎ 本来の姿は?
保護者にとっては「この園は災害時にどう動くのか?」が最大の関心ごとのひとつ。掲示、配布、アプリ通知など、多様な方法で繰り返し伝えることが理想です。子どもを預ける上での「安心」は、こうした見えにくい情報共有によって支えられているのです。
■ 指摘事項② 「児童の睡眠チェックが適切に実施されていなかった」
◎ どんな問題?
午睡(お昼寝)の時間に、子どもたちの呼吸や体勢を定期的にチェックする義務があります。特に乳児は睡眠中の事故リスクが高いため、命を守る大切な業務です。
この園では、チェックの記録が不十分だった、またはチェック自体が抜けてしまう場面があったと見られます。
◎ なぜそんなことが?
一人の保育士が複数の子どもを見ながら、同時に連絡帳を書いたり、排泄介助をしたりする現実があります。体制の問題、人手不足、もしくはチェック方法のルールが曖昧だったのかもしれません。
◎ 本来の在り方は?
例えば「5分おきに記録をつける」「目視+触診で確認」など、マニュアルが整備されているか、そしてそれが現場で実行できる環境かが重要です。働く保育士の質だけでなく、園の仕組みや風土も問われるポイントです。
■ 保護者に伝えたい「園選びで見るべき点」
つい施設の新しさや園庭の広さに目が行きがちですが、以下の点もチェックしてみてください。
- 保護者への情報共有は丁寧か?(毎月の便りや掲示物にヒントあり)
- 安全計画をどんな形で共有しているか?
- 午睡チェックの体制は?(説明会で具体的に聞いてみましょう)
- 職員の入れ替わりが激しくないか?
表に見える“キラキラ”だけでなく、「当たり前のことを当たり前にやれているか」を見極めることが、保育園選びの真価です。
■ 保育士のあなたに届けたい「園選びの目」
転職を考えている保育士さんも、求人票だけでは分からない“中身”を見る力が必要です。
- 睡眠チェックなど命に関わる業務がどう扱われているか
- 園内の申し送りや周知が「チーム保育」として成立しているか
- 監査後の対応が誠実かどうか(問題は起きても、向き合い方が大事)
- 主任や園長の“言葉”に力があるか
保育の質は、リーダーの姿勢や園の文化に滲み出ます。面接で現場を見せてもらうとき、「ここで自分の専門性が活かせるか?」を問いかけてみてください。
■ まとめ 〜指摘は成長の入り口〜
指摘があったからといって、即座に「悪い園」と切って捨てるのは早計です。大切なのは、その後の対応。そして、その指摘から私たちが何を学べるかです。
保護者の皆さんも、保育士の皆さんも、「見えない部分を想像する力」を育てていきましょう。保育の世界は、派手さではなく、地道な積み重ねで子どもたちの命と未来を支えています。
そして、私たち大人がその営みに、もっと耳を傾けていくべきではないでしょうか。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
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