こんにちは、今日はちょっと難しそうに聞こえる「保育園の監査」の話をお届けします。
普段、保育園を探す保護者の皆さんも、「監査」と聞くとつい身構えてしまいますよね。「うちの子、大丈夫かな?」「この園、信用していいのかな?」と…。
でも大丈夫。今回は、世田谷区のある保育園で実際に起きたことを例にして、「何が問題だったのか」「子どものために大人がどうあるべきか」について、一緒にひもといていきましょう。難しい言葉は、できるだけ優しくほぐしてお送りします。
◆この記事でわかること
- 令和6年9月4日に行われたクラルテ保育園の指導監査の内容
- なぜこのような指摘が起きたのか?背景をやさしく解説
- 子どもにとって良い保育とは何か?“本来あるべき姿”
- 転職活動中の保育士が「ここは安心」と思える園を見極めるポイント
クラルテ保育園で何があったのか?〜3つの指摘事項〜
令和6年9月4日。世田谷区が行った「指導監査」で、クラルテ保育園に以下の3点の不備が指摘されました。
① 経理規定に定める拠点区分での会計処理がなされていなかった
これは簡単に言うと、「お金の使い道が、どの園のものかちゃんと分けられていなかった」ということです。もし複数の園を運営していた場合、それぞれの園ごとに帳簿をつけなければいけません。「どこで・何に・いくら使ったか」が混ざってしまっていた、という状態です。
② 必要な附属明細書が作成されていなかった
これは、「お金の出入りを詳しく示した書類」がなかった、ということです。帳簿があっても、内訳や証拠がなければ、見た人が「なるほど」と納得できません。保育園は公費(税金)も使われているので、透明性が求められます。
③ 現金・預金の保管が適正でなかった
例えば現金が無造作に引き出されていたり、誰でも触れる場所に置かれていたとしたら、それはとても危険です。小さなミスが、やがて大きな信頼喪失につながります。お金の管理は、子どもたちの生活の土台なのです。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
なぜこうしたことが起きたのか?〜背景を読み解く〜
こうした不備が起きる背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 急拡大した法人による運営のひずみ:複数の園を急いで開設すると、事務体制や職員教育が追いつかないことがあります。
- 現場と本部の分断:現場の保育士さんが一生懸命子どもを見ていても、本部での経理処理にズレがあると、全体が不安定になります。
- 「保育が第一」になりすぎた結果:もちろんそれは素晴らしいことです。でも、帳簿をつける人も、子どもを守っているのだという意識が必要です。
本来あるべき「保育」とは何か?
保育とは、単に子どもを預かるだけではありません。
「保育を支える土台」も、同じくらい大切です。建物がしっかりしていても、基礎がゆるければ、地震が来たときに崩れてしまう。
同じように、いくら先生たちが頑張っていても、経営の透明性が欠けていると、いざというときに子どもたちを守れないかもしれません。
本来の保育は、こうあるべきです。
- 子どもたちが安心して過ごせる環境があること
- 保護者が、心から信頼できる運営体制があること
- 保育士が、やりがいを持って働ける職場であること
転職活動中の保育士さんへ〜「良い園」を見極める3つの視点〜
「次の園こそ、長く働けるところにしたい」
そう願う保育士さんに、こんなチェックポイントをお勧めします。
① 面接で「事務体制」について聞いてみる
「経理担当の方は常勤ですか?」「本部との連携はどうなっていますか?」といった質問に、きちんと答えられる園は、運営の土台がしっかりしています。
② 現場の声が経営に届いているか
現場の意見を大切にしている園は、保育の質も高いです。見学の際に、保育士同士の会話や、主任の様子を観察してみましょう。
③ お金の使い道が「子ども中心」かどうか
備品、玩具、給食…実際に使われているものを見ると、「園がお金を何に優先して使っているか」が見えてきます。
◆まとめ:信頼は「整っている」から生まれる
どんなに熱意があっても、「お金まわり」が曖昧なままだと、保育の現場は疲弊していきます。
クラルテ保育園の事例は、「保育園も小さな社会。だからこそ、ルールと信頼が必要だ」ということを教えてくれます。
保護者の方も、保育士の方も、園を選ぶときは「整っているかどうか」に注目してみてください。
整っているというのは、派手さではなく、「見えない努力」が丁寧に積み重ねられていることです。
それはまるで、子どもたちを見守るような、静かで確かな優しさなのです。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
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