保育園選びは、人生の大切な選択のひとつです。
わが子が日々を過ごす場所は、安心できるところであってほしいし、
保育士として働く場もまた、信頼できる環境であってほしい。
今回は、世田谷区の保育園で行われた指導監査をもとに、
保護者の方にも、保育士を目指す方にも役立つ情報をお届けします。
透明性のある園運営とはどのようなものか。
そして、園を選ぶときに大切にしたい“まっすぐな視点”について、いっしょに考えてみましょう。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
この記事でわかること
- 指導監査とは何か、どんな視点で行われるか
- 今回の指摘内容の背景と、本来あるべき保育園の姿
- 保護者が園を選ぶときに見るべきポイント
- 保育士が転職先を選ぶときに大切にしたいこと
指導監査とは、何を見ているのか
保育園には、毎年または数年ごとに「指導監査」が入ります。
これは行政が保育園の運営状況をチェックし、
子どもたちの安全と保護者の信頼が守られているかを確認する、大切な機会です。
監査では、保育の質だけでなく、書類やお金の流れ、
職員の配置や園内の衛生管理など、さまざまな面が見られます。
これは、園が「公的なお金(税金)」を使って運営されているからこそ。
きちんとした運営をしているかどうかを、みんなで確かめる仕組みなのです。
今回、指摘されたこと
令和6年11月29日、世田谷区の「いいほいくえん用賀」で指摘されたのは、次の2点でした。
- 財務諸表が園内に備え付けられておらず、保護者が閲覧できる状態にしていなかったこと
- 法人本部に貸し付けていたお金が、年度内に返されていなかったこと
一見すると「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、
これらはどちらも「お金の流れが見えるようにしておきましょうね」という、大切な決まりです。
なぜこれが大切なのか
保育園は、保護者が保育料を払い、自治体が補助金を出して支える場所です。
つまり、保育園のお金は「みんなのもの」。
そのため、どこにどれだけ使われているのかが、誰にでもわかるようにしておく必要があります。
今回のケースでは、財務諸表(お金の収支をまとめた書類)が園内に置かれていなかったため、
「この園はお金をどう使っているの?」と知りたい保護者がいても、見ることができない状態でした。
また、法人本部に貸したお金が年度内に戻ってきていなかったことも、
「園のお金が、ほかの目的で使われたままになっている」という意味で問題になります。
じゃあ、本来どうすべきだったの?
- 財務諸表は園に置いておき、いつでも見られるようにすること
- 貸し付けたお金は、年度内にきちんと戻しておくこと
これは、決してお堅いルールではなく、
「大切なお金を、子どもたちのためにちゃんと使っているよ」と示すための、あたりまえの姿勢です。
保護者として、保育園を選ぶときに見たいこと
保育の内容や先生のやさしさも大切ですが、
「この園はちゃんと透明性があるか」という視点も、ひとつの安心材料になります。
見学の際にこんなことを聞いてみてください。
- 財務書類は園で見られますか?
- 保護者への説明はありますか?
- お金に関することを、きちんと話してくれる園ですか?
あたりまえのことを、あたりまえに話してくれる園は、
子どもにも、保護者にも、まっすぐ向き合ってくれている園です。
保育士として、転職先を選ぶときに考えたいこと
園の運営がきちんとしているかどうかは、
働く人の安心にも直結します。
- お金の使い方が透明か
- 決まりごとを守ろうとする姿勢があるか
- 「おかしい」と思ったことを話せる雰囲気があるか
こんなところに注目してみてください。
それはつまり、「長く、まっとうに働けるか」ということだからです。
まとめ
保育園は、子どもたちが育つ場所であり、
保護者が信頼を預ける場所であり、
保育士が人生をかけて働く場所です。
だからこそ、私たちは「正直で、まっすぐな園」を選びたい。
そして、そうした園がもっと増えていってほしいと思います。
指導監査の結果は、ただの指摘ではなく、
「もっとよくなるためのヒント」でもあります。
透明で、やさしくて、信頼できる場所を、いっしょにつくっていきましょう。
<参考>世田谷区 指導検査について
https://www.city.setagaya.lg.jp/01044/1632.html#p4
コメント