見学に行く前に知っておきたい、保育園の「命を守る仕組み」

この記事のポイント

  • 保育園への指導監査では、こどもの命に関わる事故を防ぐための項目が特に重点的にチェックされている
  • 大きく分けると「お昼寝」「食事」「プール」「アレルギー」「園外活動」の5つの場面がリスクが高いとされている
  • でも、こうした対策を本当の意味で機能させているのは、マニュアルよりも「職員同士の関係性」だと感じている
  • 「いつもと違う」という小さな気づきを、その場ですぐ言い合える空気があるかどうかが、実は一番大事なポイント

こんにちは。このブログでは、保育や子育てにまつわる話を、自分自身の経験も交えながら書いています。私は以前、保育園の運営に携わる仕事をしていて、今は学びの多様化学校を運営する法人で働いています。

保育園を選ぶとき、多くの方が気にするのは、園庭の広さや行事の充実度、先生の雰囲気といった、見学すればすぐにわかる部分だと思います。それはもちろん大切なのですが、実は行政が保育園を定期的にチェックする「指導監査」という仕組みの中で、もっとも重点的に見られているのは、こどもの命に直結する安全管理の部分です。

今日は、その中でも特に重大な事故につながりやすいとされる5つの場面についてお話ししながら、最後に、私が運営担当をしていた頃に一番大切にしていたことについても触れたいと思います。

お昼寝中の見守り

保育園での死亡事故というと、実は多くがお昼寝の時間に起きています。うつぶせのまま長い時間気づかれなかったり、顔色や呼吸の変化を見逃してしまったりすることが原因です。

これは決して珍しい話ではなく、実際にここ数年でも、うつぶせ寝の状態で発見された赤ちゃんの死亡事故が起きています。こうしたことを防ぐために、園では定期的に子どもの様子を見に行き、記録をつけることが求められています。

見学のときに「お昼寝の時間、どんなふうに様子を見てくださっているんですか」と聞いてみると、その園の姿勢がなんとなく伝わってくると思います。しっかりした園であれば、具体的に答えてくれるはずです。

食事のときの窒息

小さなおもちゃを飲み込んでしまったり、給食を食べているときにのどに詰まらせてしまったりする事故も、残念ながら繰り返し起きています。りんごやぶどう、パンといった、家庭でもよく登場する食べ物が原因になることも少なくありません。

園では、こどもの年齢や発達に合わせて、食材の切り方や大きさを工夫することが基本とされています。もし気になるようであれば、給食の写真や献立を見せてもらいながら、どんな配慮をしているか聞いてみるのもいいと思います。家庭でも、月齢に合わない硬さや大きさのものを与えないよう、少し意識してみてください。

プールや水遊びの時間

夏になるとプール活動が始まりますが、ここにも見落とされがちな落とし穴があります。それは、「子どもたちを指導する先生」と「安全を見守るためだけの先生」を、きちんと分けて配置できているかということです。

一人の先生が両方を兼ねてしまうと、指導に気を取られている間に、目を離してしまう瞬間が生まれます。これは行政の監査でもよく指摘されるポイントで、園だよりなどでプールの時間の体制について触れられていないか、目を通してみるといいかもしれません。

アレルギーの情報共有

食物アレルギーのあるお子さんにとって、誤って原因となる食材を口にしてしまうことは、時に命に関わる事態を招きます。担任の先生だけがアレルギーの情報を把握していても、給食を作る職員や、たまたま代わりに対応した先生がその情報を知らなければ、事故は防げません。

入園前の面談などで、アレルギー情報がどのように園全体で共有されているか、また状況が変わったときにどう伝えればいいのかを確認しておくと安心です。

散歩やお出かけのときの人数確認

数年前、送迎バスへの置き去りという痛ましい事故が全国的なニュースになったのを覚えている方も多いと思います。あれをきっかけに、散歩やお出かけの前後にきちんと人数を数える、という当たり前のことが、今まで以上に厳しく求められるようになりました。

出発前と到着後に、必ず点呼を取っているか。これも、見学や日々のやり取りの中でさりげなく確認できることのひとつです。

本当に大事なのは、マニュアルより「職員同士の空気」

ここまで5つの場面を紹介してきましたが、実際に園の運営に携わっていた立場から正直に言うと、マニュアルや体制図がどれだけ整っていても、それだけでは事故は防ぎきれません。

私が運営を担当していた頃、いちばん気にしていたのは、職員が「いつもと違う」という小さな違和感を持ったときに、それをその場ですぐ言葉にできる関係性があるかどうかでした。

たとえば、お昼寝中にふと「あれ、いつもより顔色が違うかも」と感じた瞬間。あるいは、プールサイドで「今日はちょっと目が届きにくいな」と思った瞬間。こうした気づきは、たいてい一瞬で、しかも本人も「気のせいかもしれない」とためらってしまいがちです。そのとき、隣にいる職員にすぐ声をかけられるか、園長に遠慮なく伝えられるか。この差が、事故を未然に防げるかどうかを大きく左右すると感じていました。

だから私は現場を見るとき、書類やマニュアルの出来栄え以上に、「園長と職員、職員同士がちゃんと目を合わせて会話できているか」をよく見ていました。忙しい時間帯でも、ふと顔を見合わせて一言二言交わせている園は、たいてい何かあったときの反応も早いものです。逆に、みんな下を向いて自分の作業だけをこなしている園は、どれだけ立派な体制図があっても、少し心配になります。

おわりに

ここに挙げた5つの場面は、国が全国の保育園に向けて示しているガイドラインの中で、繰り返し強調されている内容です。どの園にとっても共通の、いわば「守るべき基本」だと言えます。

ただ、それを本当に機能させるのは、結局のところ「人と人との関係性」なのだと思います。見学のときに安全対策について質問するのと同時に、もし可能であれば、職員の方々が普段どんなふうに言葉を交わしているか、その空気感にも少し目を向けてみてください。マニュアルには表れない、園の本当の姿が見えてくるかもしれません。

そして、保護者が園に質問することも、園の中で職員同士が声をかけ合うことも、どちらも「こどもを守りたい」という同じ気持ちから生まれるものです。お互いに安心して預け、預かるための、大切なコミュニケーションだと私は思っています。

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