お金と心、両方が大切にされる場所であるために──江戸川区月映保育園

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子どもたちの笑顔があふれる保育園。その裏側で、私たち大人はどれだけの知恵と工夫でこの「日常」を支えているのでしょうか。

令和6年7月、江戸川区の月映保育園で実施された指導監査において、「委託費の弾力運用」に関する指摘がありました。お金の話は難しいけれど、とても大切なこと。
この記事では、その背景を丁寧にたどりながら、本来あるべき保育の姿、そして保育士として働く人々や園を選ぶ保護者にとっての指針を、静かに、そして真剣に考えてみたいと思います。


この記事でわかること

  • 「委託費の弾力運用」とは何か
  • なぜその運用に問題があったのか
  • どんな保育園を選べば安心できるのか(保護者向け)
  • 転職活動中の保育士が園選びで気をつけるポイント
  • そして──私たち大人が、子どもの未来にできること

1. 「委託費の弾力運用」とは──予算という器をどう使うか

まず最初に、「委託費の弾力運用」という耳慣れない言葉をほどいてみましょう。
保育園は、公費で支えられている部分が多くあります。国や自治体から支給される「委託費」は、運営に欠かせない資金であり、主に人件費や施設の維持費、保育に必要な備品などに使われます。

けれど、現実の保育は教科書通りにはいきません。ときに保育士の急な退職があったり、保育のニーズが変化したり。そういった場面で、ある程度の柔軟性を持たせるために、行政は「弾力的に使ってよい」というルールを設けています。これが「弾力運用」と呼ばれる仕組みです。

しかし、その「柔軟さ」にも条件があります。むやみに使ってよいわけではなく、あらかじめ通知された要件をすべて満たす必要があります。たとえば、事前の書類提出や明確な使用目的の記載、他用途への振り替え時の理由説明など──。その透明性こそが、公費の信頼性を支えているのです。


2. 月映保育園で何が起きたのか

江戸川区の指導監査結果によると、月映保育園は「委託費の弾力運用」に関して、通知された要件をすべて満たしていなかった、という指摘を受けました。
具体的には、書類の不備や、運用の理由が曖昧だった可能性が考えられます。

ここで重要なのは、「不正」や「横領」というような悪質な意図があったかどうか、ということではなく、「ルール通りに説明しきれなかった」ということです。

保育の現場は、想像以上に忙しく、緊張感のあるものです。職員は毎日、目の前の子どもたちに全力を注ぎます。その中で、運営に関する事務手続きが後手に回ってしまうことは、残念ながら起こり得る現実です。


3. 本来あるべき保育とは──お金の使い道は、心の現れ

では、本来あるべき保育とはどのような姿でしょうか。

それは、安心して子どもを預けられること。保育士が笑顔で働けること。そして、経営が透明であること。この3つが揃って初めて、「信頼される保育園」と呼べるのだと思います。

お金の使い方は、園の価値観を映し出します。
子どもに質の高い保育を届けるために、何に投資するか──それが人件費であるのか、環境整備なのか、研修なのか──そこに、その園の哲学が表れるのです。

行政が定めたルールを守ることは、単なる事務作業ではなく、「私たちは誠実に、まっすぐに保育をしています」という意思表示です。


4. 保護者として保育園を選ぶときのポイント

では、これから保育園を探そうとする保護者が、何に気をつければよいのでしょうか。

いくつかの視点を挙げてみましょう:

  • 運営の透明性があるか
    → 説明会で財務や職員体制についてオープンに話してくれる園は、信頼できます。
  • 職員の表情が穏やかか
    → 保育士が疲弊していない園は、運営が健全である可能性が高いです。
  • 行政監査の結果を確認する
    → 各自治体のホームページで公開されています。指摘が多い園には理由があります。
  • 見学時の対応に誠意があるか
    → どんな質問にも丁寧に答えてくれる園は、保護者との対話を大切にしている証です。

5. 保育士が転職先を選ぶときの基準

いま、保育士の離職率は高止まりしています。その背景には、人間関係や給与、職場の方針との相違など、さまざまな理由があります。
転職を考えている保育士さんにとって、職場選びは人生の再スタートです。

チェックすべきポイントを挙げます:

  • 監査結果に不安がないか
    → 財務や運営の面で行政から指摘を受けていないか、公開情報を確認しましょう。
  • キャリアアップの機会があるか
    → 研修制度や役職登用の透明さがあるかどうかは、長く働く上で大切です。
  • 園長や主任との相性
    → 見学時の雰囲気や面談の印象は、自分を大切にしてくれるかの重要な手がかりになります。
  • 「子ども第一」が本当に実践されているか
    → 業務効率ばかりでなく、子どもに向き合う時間が確保されているかを見極めてください。

まとめ──心ある保育に、もう一度、光を

保育の現場は、常にギリギリです。
その中で、働く人も、子育てする人も、みんなが「子どものために」と努力しています。だからこそ、ほんの少しのルール違反が、時に大きな信頼の揺らぎにつながってしまう。

私たちが今できることは、「ちゃんと見ること」、そして「ちゃんと選ぶこと」。保育園を運営する側も、選ぶ側も、みんなで透明で健やかな保育を育んでいく。
それがきっと、子どもたちに贈る最高のプレゼントになるはずです。

最後に、日々、目の前の子どもと向き合う保育士さんへ。あなたの仕事は、誰よりも尊く、美しい。
そして、悩みながら保育園を選ぶすべての保護者へ。あなたのまなざしこそが、保育を育てます。

誰かのために動くことは、時に苦しく、でも確実に世界を変える力になる。
そんなあなたに、心からのエールを。


<参考>江戸川区 検査結果
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e047/kosodate/kosodate/kensa/kekka.html

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